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The one that got away.

第9章 ファントム・ルージュ





「ここ、か」

「みたいだ…煙が酷いね」

「ッチ、はよ行くぞ」


相澤が母親である女性から聞き出した娘の個性は空間移動。とても希少価値が高くリスクも大きなものだが、まだ個性が発動したばかりの娘は上手く扱えていないらしい

だから母親である女性はいつも見守っていたのだか、それでも少し目を離した隙に今日のようになってしまうこともある。普段なら迷子センターにすぐに駆けつけるらしいが…

運が悪いことにここはパーティー会場で、今も爆発が繰り返される高層ビルの中だ

個性を発動させ、どこかで怯えている。そう考えるのが筋だろう


「こんな大層なパーティーに子連れでくんなよ!」

「爆豪、一理あるがその言い方はないだろ…」

「はぁ?うっせーよ!要らん仕事増やしやがって…!!」

「あーもう落ち着いてよ二人とも!」


40階ほどから使えなくなったエレベーター。その隣にある非常階段を使い緑谷たちはかけ上がってきた。人の命がかかっているのだ、40階から75階までを全力で走った


「けど、久々に…こんなに、息上がったかも」

「ッハ、鈍ってるんじゃねーか」

「かっちゃんがタフすぎるんだよ」


瓦礫を避けながらも足を進める緑谷たち。すると先頭を行く爆豪の足が止まった


「かっちゃん?」

「おいどうした爆豪…お、」


不思議に思った二人が爆豪の後ろから顔を覗かせた。するとそこに居たのは小一時間ほど前まで一緒にいた人物たちだった


「凛ちゃん!それにピーターさんも」

「…やあ、また会ったね」

「?お前ら何でまだ此処に…」


一般人と一緒に外に出てると思ってた。そう言う轟の言葉にピーターは肩を少し上げてから答えた


「ボクらにはまだ仕事があるんだ。けれど、キミたちが避難完了させたはずの場所にまだ人がいるみたいだったから助けに来たんだよ」

「何だよ…嫌みか?」

「…別に?ただ本当に無能だなって思っただけさ」

「はぁ!?」

『ピーターやめて』


ピーターの後ろから彼に声をかけた凛にピーターはやれやれと言って爆豪と睨み合うのをやめた

そしてその凛が抱きかかえているのはシフォンドレスを着た小さな女の子だった


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