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The one that got away.

第9章 ファントム・ルージュ





「デク、ショート、それに爆心地!」

「え、先生!?」

「おい、先生はやめろっていつも言っているだろう」


一般人をビルから遠く離れた場所へと誘導し、避難が完了した。プロヒーローになったクラスメイトたちが協力してくれたお陰でもある


「すみません…でもどうして先生や皆が?」

「あぁ、その事なんだが…」

「すみません!うちの子知りませんか!?」


相澤たちの話に飛び込んできたのは一人の女性だった。どこか慌てたように顔を真っ青にしている


「アンタはさっきの…もう大丈夫なのか?」

「ショート!先程はありがとうございました!」

「いや、無事ならいいんだ」


勢いよく轟にお辞儀をした人物はビルの中で爆豪が見つけ、轟が外まで背負っていた女性だった。服のあちこちは汚れているが声を聞く限り大きな怪我もない


「んで何のようだ、一般人はあっちで待機だろーが」

「おい爆心地」

「す、すみませんっ。けれども…」


今にも泣きそうな声で俯いた女性。爆豪に睨まれそうなったのではないが相澤は爆豪を咎めた


「あの、どうかしたんですか?さっきうちの子って言ってましたけど…」

「ヒーローデク!そう、そうなんです!私の娘が見当たらなくて…私と一緒にいた筈なんですが知りませんか!?」


緑谷にすがり付き必死に訴える女性はどこか興奮したかのように話し出す


「あの子トイレに行きたいっていうからパーティー会場を抜け出して連れていったんです!けれども中々出てこなくて、まさかまたイタズラをと思ってトイレの上から覗いたらやっぱり居なくなっていて、そしたらいきなりビルが揺れはじめてもしかしたらあの子……!!!」

「あの!落ち着いて!」

「そうです奥さん。…お子さんは本当に此処にいませんでしたか?」

「いませんでした!貴方たち以外のヒーローにも尋ねましたが小さな女の子は見ていないって…!」


とうとう泣き出してしまった女性はその場に崩れ落ちた。そしてそれを見た緑谷たちも顔を見合わせた


「爆豪、この女性を見つけた時の状況は?」

「56階のトイレの前で倒れてた、俺はそっから下に降りて来たがガキなんて見てねえよ」

「…そうか」


なら可能性は1つだなと相澤は考えた。そして地面に座り込む女性に尋ねた


「奥さん…その子の個性は?」


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