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The one that got away.

第9章 ファントム・ルージュ





「みっ……デク!」

「とど……ショート!そっちは?」

「取り敢えず非常口に向かわした!300だ」

「僕は200ちょっと、このままじゃ…!」

「間に合わねえ…!」


この80階建の高層ビルにいるとされている人数はジェイによると従業員を含めた一般人約1000人。パーティー専用にしていたらしくその人数だが、それでもヒーロー3人+ピーター、凛だけではとても手に負えない


「そこで何してんだテメェら!!」

「っかっちゃん!」

「爆豪…!」

「口動かしてる暇あんならさっさとこのモブ共逃がせや!!」


人混みの中から出てきて吠える爆豪は女性を背負っていた


「かっちゃんその女の人は…?」

「あぁ!?上で拾ったんだよ!!」

「へ、拾った!?」


よくよくその女性の顔を見ると煤で汚れている。爆発に巻き込まれたのだろう。けほっと苦しそうに息を吐いている


「煙吸ってるかもしれない…!早く外に出そう!」

「爆豪、俺が行く」


緑谷と轟、そして爆豪が避難誘導をしたにしても残りあと500人ほどの一般人が残っている。

緑谷たちの頭に過ったのは嫌でも思い出す神野区の悪夢。プロヒーローになった今でもあれほどの事件は起きたことがなかった。しかし今回は高層ビルの大規模爆発。最悪の事態も予想しなければならない


「っどうしたら…!!」

「緑谷落ち着けって!」

「僕が…!!」


次期平和の象徴などと呼ばれている自分が、と緑谷は思った。ヒーローの自分が焦ってはいけないと頭では分かっているのに


「どうしたらどうしたらどうしたら!!!」

「デク君」

「ちょっと黙ってよ今必死に考えてる…ん……だか、ら」


その声色と手に暖かさを感じた緑谷はその主を見た。


「うら、らかさん…」

「デク君、周りの見えとる?」

「あぁぁぁごめんなさい!けれどどうして…?」


手を握っていた事実に驚きパッと離した緑谷は顔を赤くさせながらも麗日の言葉で周りを見た

そして息を飲んだ


「どうしてって…そんなん決まってるやん」





「「「俺/私たちがヒーローだから!!!」」」





そこに居たのは欠けがえのないクラスメイトたちだった


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