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The one that got away.

第5章 恋人(仮)作戦





『ピーター貴方何考えてるの?今さら変更だなんて、大体爆豪君が私なんかと…仮にも恋人だなんてするわけないじゃない』

「…おいテメェ今何つった?」

「そうだよリン…彼だって仕事だって分かってるハズだよ。ね、バクゴー?」

「…あぁ、やってやんよ」


爆豪は力強く拳を握った


じゃあよろしく!と言ったピーターに二人で部屋を追い出されたのがつい10分前。凛は爆豪の後ろを歩いていた

そして凛は考えていた。いつものピーターなら直前に作戦を変更するなどない。ましてや言うことを聞かないなんて……。彼はああ見えても頭の切れる男だ


『そういう所は似てるのかな…』

「あ?何か言ったか」

『……別に』


明るく社交的な彼とは対照的な爆豪だが、戦闘に関しては似ている、そして決して折れないという部分も


「ほんっとに鬱陶しいなテメェはよ」

『だからこうして離れて歩いて…っ!?』

「そういうのが気に入らねーんだ」


あぁ、やっぱりこうなった。と凛は壁に押し付けられる肩の痛さに顔を歪めた

あのときから約6年の月日が経っているが、彼の性格は何ら変わらない。いつもヒトを見下していて傲慢。自尊心が強くて横暴で…

いや、それは私自身も同じなのかもしれない。
6年経ってもこうして鬱陶しいと言われる自分も面倒な女だってことだ


『…気に入らなくていい、今は作戦に集中して。勝手な行動を取ることがどれだけ迷惑か判るでしょう?』

「……ッハ、よくテメェが言えるな」


吐き出すように爆豪は笑った。そして凛の顎を持ち上げると、自身の顔を引き寄せた


「勝手な行動だぁ?そりゃテメェだろ。何で!……どうして俺たちの前から姿を消した?」

『…っ』

「なあ、答えて見ろよ…凛!!」


小学生以来だ、彼に名前を呼ばれたのは。あれだけ呼んで欲しかった、求めていた……なのに


『……』


これっぽっちも嬉しくない


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