第4章 必然で突然
「っ何よ何よ何よこれぇぇ!?」
敵の女は狂ったように自身の目を押さえている。そして、他の男二人の体には無数の糸
「ねえキミ、今のうちだよ!」
「お、おう!」
何処からか声が聞こえ、轟は動きがとれずにいた男二人を氷付けにした。あれだけ手こずっていたにも関わらず呆気ない
「…待て、お前誰だ?」
「さぁね。ボクはただの……蜘蛛男さ」
じゃあ!と言い残すと声の主は天井に吊るした糸を伝い姿を消した。姿はよく見えなかったが声からしてまだ自分達と年は変わらないのではないだろうか
「あ、瞬木!大丈夫……みたいだな」
『轟君?』
「…それ、お前がやったのか?」
『ううん。これは爆豪君がしたの』
「おい、クソ女」
爆豪と凛の傍には気絶して倒れている女ヴィラン。様子から察するに爆豪が倒したらしい
「…俺を助けた何て思わねえことだな」
『……』
「テメェが来なくてもあんなザコ俺一人で十分だった…邪魔しやがって」
『ごめん…なさい』
「……ッチ!!」
お?と轟は思った。爆豪が倒したと思っていたが不機嫌な彼を見る限りどうやら違うらしい
「その手に持ってるの何だ?」
『あぁ、ギンピ・ギンピ』
「ぎん…?」
『触れた箇所が焼けるように痛くなる猛毒植物。生えてるのが見えたから抜いてヴィランの目にあてたの』
「それ、お前は大丈夫なのか?」
『うん。手袋してて直接触れてないから』
「…そうか」
まるで当然のことのように凛は言うが、毒性のある植物を知っていて咄嗟の判断でそれを使うことなど普通ではできない。
それに、いくらヒーロー科だからと言っても科学者ではないのだ。そんな専門分野でもないようなことを……
「おい行くぞ舐めプ野郎、クソ髪!!!」
「あ、あぁ。ほら、瞬木お前も…」
『うん。行こう』
俯いている凛を見て轟は声をかけようとした。しかし、凛は平気だと言うように轟の隣を歩いた
轟はそんな凛を見て少しゾッとした
無表情なのに口元だけ笑みを浮かべる彼女が知らない人のように思えた