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The one that got away.

第4章 必然で突然





「坊や。お嬢さんのことを頼むよ」

「うん。任せてよスタークさん」





カフェでスタークが話した内容はこうだ。

自身は科学者であり彼女は少しの間、一緒に仕事をした同僚だった。彼女が亡くなったことは後に知ったが娘がいたことは知らなかった。先日、日本で行われた雄英体育祭で君の存在を知った。だから、彼女が懐かしくなり君に会いたくなった

と。何とも薄い内容だと思ったが、彼の真剣な目には嘘はないと思った。

用が済んだので帰ろうとした凛をスタークは呼び止め、夜行われるパーティーに参加するドレスは持っているか?と聞いた

そもそも、話が終わればすぐに帰るつもりだったのだ

凛はドレスなど持っていないし、すぐに帰れなくても参加するつもりはなかった


そう説明すると、スタークは「だと思ったよ」と言い1つのスーツケースを凛に渡した。


『私、ドレスなんて貰えません』

「そんなこと言わないでくれ。…そうだな、私の話に付き合ってくれたお礼として受け取ってくれたら良いよ。だから……君に是非、着て欲しいんだ」


返そうと思ったが彼の強い意思に押され、しぶしぶ受け取った。そして、「坊やと一緒に来るといい」とホテル部屋まで案内されてしまった





「リンー?着れたー?」


鏡に映る自分を見る。…お世辞にも似合っているとは思わない。化粧もしてみたが、キモい、ブスと散々言われて来た自分が確かに存在するだけだ


「もう着れたよね?開けるよ?」

『っ待って』


オープン!と愉快そうに笑いながら少年はカーテンを開いた。そして口をあんぐりと開けたあと顔を輝かせた


「わーお!とーっても綺麗だよ!!」

『……』


まじまじと見られ、凛は思わずと言った風に下を向いた。


「どうして下を向いてるの?本当に綺麗だよ??」

『私なんかがこんなドレス……』

『??リンだから似合うと思うんだけど…まあいっか!』


行こう!と手を引かれた凛は『あの!』と彼を呼び止めた


『…貴方、名前は?』

「ボク?…あぁ、まだ言ってなかったけ?」



"ボクはピーター・パーカー。親愛なる隣人さ!"



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