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The one that got away.

第4章 必然で突然





「やあお嬢さん、坊やが手荒な真似をして悪かったね」

『…貴方がスタークさんですか?』

「…あぁ、いかにも。私がトニー・スタークだ」


よろしく、と差し出された手を凛は恐る恐る握った。

凛が坊やと呼ばれている少年に連れてこられた場所はアイランドの端に位置する小さなカフェだった


『坊やってことは…?』

「あぁ、いや違う。彼は何というか……私の助手だよ」

「痛い、スタークさん痛い」


グリグリと彼の頭に拳を打ち付けながらスタークは笑った。

助手にしては若すぎでは?と凛は思ったが突っ込まないでおいた。だって、少年は見るからに同年代である。何か訳アリなのかもしれない


『それより…』

「ん?あぁ、君を招待した理由かい?」

『はい。…どうして、瞬木凛々花を……私の母を知っているんですか?』


手紙に書いていた文はこうだ。

君の母について僕が知っていることを話したい。是非、I・アイランドで会おう。来てくれることを祈っている。

たったこれだけで信じていいのかは分からなかった。

けれども、祖母以外に母を知っている人物を知らない凛にとっては、嘘でも信じたかった。

凛が赤ん坊の頃に亡くなった母がどんな人なのかを知りたかった


「彼女と僕の話をするとなると少し長くなるが…それでも、聞いてくれるかい?」


サングラスの中の彼の青い瞳が凛を射ぬいた

凛は一呼吸を置いてから静かに頷いた


「OK。…坊や、少し何処かへ行っていてくれ」

「え!?……分かったよ」


トボトボと残念そうに席を外そうとする少年の手を凛は掴んだ


『まって。…私をここまで連れてきてくれた彼にも、聞く権利はあると思います。それに……貴方の助手なら信頼できますよね?』

「……ハハッ!!確かにそうだ、私の助手なら信頼できる。すまないな坊や」


高らかにスタークは笑い少年に再び席に座るように言った。すると、少年は嬉しそうにリンの手を握り返した


「流石だねリン!」


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