第1章 終わりと始まり
ご飯を食べ終え、食器を洗おうとする手を南くんが止める。
「南くんって彼女居るの?」
洗い物をする背中に問いかける。
「え!?
居ませんよ、彼女なんて。
仮に彼女が居たとしたら、先輩に告白なんて出来ませんよ」
浮気になる、と肩を竦める。
「あ、それもそうね」
「先輩、明日は?仕事?」
「ううん、休み」
「そうですか。
これ、俺の番号です。
寂しかったり、辛くなったらいつでも掛けて来てください」
数字の書かれた小さな紙を握らされる。
「南くん...」
「はい」
「...寂しい」
「寂しさを埋めるに最適なのは人肌なんですよ、先輩。
俺が責任持って満たしてあげる」
連れて行かれたのはベッド。
その上に優しく寝かされ、キスを落とす。
彼以外と初めてする行為に、緊張で心臓がバクバク鳴っている。
「先輩、緊張してる?」
「うん...。
なんで南くんは平気なの、狡い」
「誰が平気なもんですか、ハッタリですよ」
手の平を胸元に持って行かれ...手の平から伝わって来る鼓動は、激しく速い。
「俺...あんまり余裕ないから、痛いかも」
「良いよ、痛くしても。
激しく抱いて...?」
「上等」
ニヤリと口端を上げ、笑う。
キスをしながら服に手を掛けられる。
「ん...」
キス、気持ち良い。
「ふふ、先輩蕩けた顔してる。
キス好き?」
「...うん」
「本当可愛い...キスだけで満足しちゃダメですよ。
俺のも満足させてくれないと」
硬くなった自身を太股に押しつけられる。
「南くん...電気消して...」
「嫌です、全部見たい」
明るい部屋で、服を全て脱がされる。
「恥ずかしい...」
手を胸の前で交差し、脚も出来るだけ閉じる。
南くんからの視線だけで、蜜口が濡れたのが分かる。