第2章 確認と進展
「あ、穂乃香さん。
おはよーございます。
ギリギリセーフですね」
ニッコリ笑う、晴人くん。
「は、晴人くんが昨日...!」
「あれ、良いんですか?センパイ。
ここ、会社」
「あっ...」
ハッとして周りを見れば、キョトンとしている同僚。
「す、すみません...」
身体を小さくして自分のデスクに着いた。
「なんだ?南。
雰囲気違うな」
「えー、分かります?
俺、穂乃香さんと付き合うことになったんです。
やっと口説き落とせた」
ニコニコ笑う晴人くんとは対照的に頬が赤くなる。
「おめでとう。良かったな」
短い言葉だけど、声音と表情から北見さんが心から言っている言葉だと感じる。
「やるわね、南。
おめでとう、2人共」
「ありがとうございます、吉井さん」
「挙式挙げることになったら真っ先に招待状送りますからね!
来てくださいよ?
お子さんも連れて」
「ええ、ありがとう」
挙式、の言葉に空気が沈んだ気がする。
そうだ、来月はヒメの結婚式が...。
「先輩、無理に挙式出てあげなくて良いんですからね。
なんなら同じ日にかぶせて、物理的に行けなくしましょうか?」
「え、でも、まだ付き合ってから日も短いし...それに...」
両親へ、別れた報告はした。
2人共、何も言わなかった。
私を責めなかった。
孫の顔を早く見たいだろうに...。
「良いわね、それ。
そしたらわたしもあの子の結婚式に出席しなくて済むわ。
元々行かないけど」
「え、良いんですか?」
吉井さんは、行くと思っていた。
場の雰囲気を大事にする人だから。
「穂乃香さん...俺と、結婚してくれませんか」
部屋が、沈黙に包まれた。