第1章 終わりと始まり
「凄い...沢山溢れて来る...。
先輩、指入れるから力抜いてて」
ゆっくりと遠慮がちに指が1本入って来る。
「んっ......あ、れ...?」
「ん?どうしました?」
「痛くないから...驚いた」
「ナニ、元彼は痛かったの?
指だけなのに?
そんなんで男のモノを受け入れられたんですか?」
「...うん」
いたたまれなくて目を逸らす。
「本当に?
痛くなかったんですか?」
元婚約者との行為は、気持ちが良いと言うよりは彼の自己満足で終わる気がしていた。
ちゃんと愛撫して貰ったことはないし、いつもローションだけ。
「もしかして、演技してたとか」
そう言われて、分かりやすく肩が跳ねた。
「あ、やっぱり?
大丈夫、俺が気持ち良くしてあげますよ。
指、増やしますね。
痛かったらちゃんと言ってください」
「...うん」
指が2本に増やされても異物感はあっても痛みはない。
「あっ、っ...そこ、やっ...」
「ん?ここですか?」
指先で触れられる度、頭の中が揺れる。
「先輩のイイトコ、見つけた」
嬉しそうに笑い、何度も擦る。
「やっ、だめ、変になっちゃ...あぁっ...」
「良いですよ」
「やっ、あっ、なんか...へんっ...とめて」
腕を掴んで頼む。
「だーめ」
「あぁっ、やっ、あっ、ギュッてして...みなみっ」
「もちろんです」
優しく抱きしめてくれる南くんにしがみつき、喉元を逸らせた。
「っあぁッ...!」
身体に強い電流が流れたような快感が走る。
「は、ぁ......」
運動を終えたあとみたいに呼吸が荒くなる。
「こんなの...知らない」
「これがイクってことですよ、先輩。
気持ち良いでしょ」
「...うん、気持ち良かった...」
「先輩......エロイ。
ダメ、我慢出来なくなる...」
真っ直ぐ見つめるその目には熱が篭っている。