• テキストサイズ

黒猫の悪戯

第1章 悪戯好きの黒猫


「鬼灯様、こいつなんとかなりませんか?微妙にしぶといんですよ。微妙に」

「微妙微妙言うな!!」


ホントこまったさんだねこの人は。
決まってたスケジュール押してるぞー…


「お前、俺と勝負しな。それとも怖いか?」

「お前失礼だぞ!」

「鬼灯様はなぁ、偉いお方なんだからな!」

「へーえ、どれくらい?」

「閻魔大王の第一補佐官、鬼の中でもトップの鬼神なんだぞ!」

「大したものではありませんよ。官房長官みたいなもんです。地味地味」

「キーッ!!腹立つ!!!」


例え世間では『官房長官みたい』でも、私にとっては神同然です。
…いや、待てよ。ここは地獄なのに最上級の表現が『神』っておかしいか。
じゃあ『閻魔』?いやいや遠くなった気がする。


「そもそも我々は鬼が島のゴロツキとは違い、身を粉にして働いています。倒される筋合いはありません。それより今の貴方は定職にも就かず、フラフラと…」

「お前は俺のおかあさ…いや、おばあさんか!!?」


私が余計な思考にハマっている間に、どうやら桃太郎がキレたらしい。
(キレかたは古いけど)


「殴る蹴るのタイマンはったろーかあぁあ!!?」

「あぁ、殴る蹴るで構わないならすぐに解決するので有り難いです」

「…いや、暴力はよくないよね」


ガンッ
ガラガラッ


「地獄なので暴力で解決しましょうよ」


鬼灯様が軽く金棒を一振りすると、岩が崩れた。


「…椿さん、さっき椿さんもアレで殴られてましたよね?」

「そーだね。大丈夫慣れてるから!ほら、もう血もとまったよ」

「(乾いた血がこびりついたままだから怖いな…)」


ホラー映画の状態でにこっと笑う椿に、茄子も唐瓜も生命の神秘を感じざるを得なかった。
/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp