第6章 ノブレス・オブリージュ
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数週間後。
大方の包帯がとれたころ、彼女を執務室へ引っ張ってきた。
「まずは書類整備からです。地獄の仕組みを覚えるため、私の手伝いをお願いします」
「……はい」
表情は硬く、眼光は鈍い。
入院生活のせいか、身体の変化のせいか。
最初に見た時よりも不健康にやせたその姿はなんとも痛ましかった。
「あぁ、椿ちゃん。待ってたよ。鬼灯君の手伝いだって?彼厳しいからね~。辛かったらワシに相談してね」
「私が忙しいのはあんたが仕事しないからでしょう。気遣うつもりなら、仕事して下さい」
「これだもんなぁ」
なおもぶつくさ言う大王に一蹴りいれてから、その日の仕事に取り掛かった。