第2章 鬼灯様の有給休暇。
***
「に、にゃあぁ~…」ツカリタ…
途中で捕まりそうになったりふんずけられそうになりながらも、なんとか帰還に成功。
うん。この身体、走りやすいっちゃあ走りやすい。
でも毛皮暑い。
「(閻魔様、いないかなー)」
キョロキョロ周りを見回すが、いない。
いつもと違う執務室に違和感を覚えただけだった。
「あれー?君、どこからはいったの?」
あ、後ろにいた。デカすぎて柱かと思った。
「にゃーん」エンマサマワタシデス!!
「あれ。しゃべれないのか。でも人懐っこいね」
「にゃーん」キヅイテ!モトニモドシテ!
ひょい。
必死の訴えも虚しく、首根っこを掴まれて持ち上げられただけだった。
離せコラ。
「にゃ!」ヤメロー!
「んー、誰か連れて来たのかな?飼い主は?」
「んにゃ!」オロシテオロシテ!
思いが通じたのか、とりあえず床に下ろされる。
んで、不本意にも撫でられる。
いや、本人は撫でてるつもりなのだろうが、重量級すぎてひとなでひとなでが重い。重すぎる。
「に、に゙ゃあぁあ…」ツ、ツブレル…
「鬼灯君ほどじゃないけど、ワシも動物好きなんだよね~。おー、よしよし」
バリッ
「んぎゃあぁぁ!!!」
「にゃあ」ゴメンツイ…
引っ掻いちゃった。
とりあえず重さからは解放された。
「(うーん、閻魔大王様はダメだな…)」
逃げよう。またつぶされかけたら敵わんや。
私はダッと執務室を飛び出した。