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黒猫の悪戯

第2章 鬼灯様の有給休暇。



まぁ本人がいいって言うんだからいっか。(←案外図太い)


「まあ、白澤サマに会いに来ましたけど…あれですよ。仙桃の収穫状況聞きに」

「んー?今年も順調だよー?あ、書類で報告のほうがいい?」

「できれば」

「じゃあ明日持って行くね」

「ありがとうございます」


チャラくても、仕事ができるのは好印象だよね。
私は白澤サマが嫌いじゃなかった。

ほら、今だってカチャカチャとお茶の準備してくれてるし。


「何飲む~?いろいろあるよ」

「あ、私まだ仕事です。桃太郎さん見に行かなきゃ」

「彼ならそろそろ戻ってくるよ。すれ違っても無駄足でしょ?お茶して待ってればいいじゃない」


んー、まぁそうか。
そう思い直し、勧められた椅子に座る。


「じゃあ、お任せで」

「おっけー。ちょっと待っててね」


ちなみに白澤サマの淹れるお茶は超美味しい。
私的には、漢方なんかより喫茶店やったほうがいいんじゃないかっていつも思ってる。
『うさぎ喫茶 極楽満月』とか。うん。ありあり。

余計な妄想をしながら足をぶらぶらさせていると、白澤サマは白い紅茶セットを持ってきてくれた。

ほわんと薫る、新鮮な果物と新緑のにおい。


「はいどうぞ」


紅茶の持ち手をさりげなく私の利き手に向けてくれる心遣いがまたなんとも…

白澤サマってすごいモテるけど、顔だけじゃないよね。
なんかこう、女の子の扱いがじぇんとるまん。


「ありがとーございます。いただきます!んー、いいにおい!!」

「ボクのオリジナルだよ。感想教えてねv」


なんか今日はいつにも増して優しい気が…
まぁいっか。


こくん


「あ、おいしい」


こくこく。


この時私が白澤サマの口元に浮かんだあやしげな笑みに気づいていればよかったのだ。
気付いていればあんなことには…。

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