第2章 鬼灯様の有給休暇。
***
「んにゃあ゙~~ぁ、やっとひと段落…」
鬼灯様が旅行に出かけてから4日目の夕方。
ようやくひと段落した解放感から、机で大きく伸びをした。
「あ、椿ちゃん休憩?お茶淹れようか?ちょうどワシも飲みたかったから、ついでにいれるよ」
「閻魔大王様…」
たまにはいいことするじゃないですか!
なんかすごく嬉しいです!!でも…
「ありがとございます。でも先に仕事片付けちゃいたいので、大丈夫です」
「あれ?終わりじゃないの?」
「はい。うさぎ漢方にちょっと用事が…あと、先日芝刈りで派遣した桃太郎さんの様子見に」
「まじめだねー。じゃあお茶は帰ってきたらね」
「はい!いってきまーす」
ぶんぶんと手を振って閻魔庁を後にする。
ふふーん♪
明日には鬼灯様も戻ってくるし、完璧な状態をみせるのだ!!
褒めてもらえるかなー、わくわく。
***
「ごめんくださーい」
…。
反応なし。勝手に開けていいかしら。
うん、いいっしょ。
そんな感じで自己完結したのが大きな間違いだった。
「白澤サマー?いないのー??」
ガラッ
「あ。」
「うわ。」
「きゃあっ///」
ちなみに上から白澤サマ・私・見目麗しきおねーさまの悲鳴。
玄関を開けた先には、完全にパーソナルスペースを割った距離で顔を寄せる男女。
「…」
「い、いややわぁ///ウチ帰る!!」
呆然と目の前の光景を眺めていると、おねーさまはパタパタと出て行ってしまった。
あと、えと。バットタイミング?
私とは気まずい苦笑いのまま白澤サマと目を合わせた。
「あー…なんかごめんなさい。タイミング悪かったですね」
気まずい私とは裏腹に、白澤サマはいつも通りのにっこにこだった。
「いやー、全然?あっちが迫ってきただけだしさ。椿ちゃんが来てくれて嬉しいよ!僕に会いにきてくれたの?」
相変わらずチャラいなこの人。