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黒猫の悪戯

第2章 鬼灯様の有給休暇。


現世の人気番組『世界で不思議発見』の視聴者プレゼントで、鬼灯様は3泊4日のオーストラリア旅行が当たりました。

有給ゲットのために鬼灯様は閻魔大王様と戦t…いや、交渉をし、先日から地獄を留守にしています。

私は当然置いてきぼりなので、第一補佐官代理として勤務中です。








2.鬼灯様の有給休暇。








「へー、椿さんもついていくのかと思ってた!」

「うん、ついて行きたかったんだけどね…ってゆーか鞄の中に紛れ込んででもついていくつもりだったんだけどね…とりつくシマもなかったわ…」


思い出しても悲しい。
あと金棒が額に刺さる感触を思い出して痛い。(←鞄に入ろうとしているところを見つかってなぐられた)

じわぁっと涙がでそうになる私の膝に、シロくんが手を置いた。


「…どんまい、椿さん。」

「まぁそう落ち込むなって」

「男ってのは一人旅に憧れるもんなのさ…椿ちゃんが嫌だったわけじゃねぇよ」

「うん、励ましてくれてありがとう…」


シロくんも柿助くんもルリオくんもいつの間にか私の膝とか肩とか頭とかに手を置いてぽんぽんとなぐさめてくれていた。


「こないだ酷いこと言ったのに、君達いいこだね~…」

「まぁこの前のは僕達が悪かったんだし。気にしてないよ」

「そーだよ。今日だって忙しい間に俺達の様子見に来てくれるくらいだし、椿さんがいい人だってわかってるよ」

「うー、優しい…」


鬼灯様とは違うね。
厳しい鬼灯様は勿論大好きだけど、たまにはこーゆー普通の優しさも恋しいよね。


「でもよ、置いて行ったのは何もプライベートの都合だけじゃないだろ?鬼灯様も椿ちゃんも抜けたら、閻魔大王がやってけないだろ」

「うん、それは鬼灯様にも言われた…『任せましたよ』って」

「えー、それすごいじゃん!」

「鬼灯様の仕事をこなせる奴なんて他にいないからなー…」

「信用されてるってことさ。その仕事を裏切る訳にはいかないんじゃないか?」


…たしかに。
3匹の言葉に元気づけられた私はすくっと立ち上がり、再び仕事に戻る。


「ありがと。頑張る!今度一緒にお団子食べにいこうねー」


桃太郎ブラザーズに見守られ。
元気回復した私は、ちりんちりんと鈴の音を鳴らしながら走って執務室に戻った。
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