第1章 悪戯好きの黒猫
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「あー…今日はなんか疲れた…」
ようやく戻ってきた自席でつぶれる私。
あれから鬼灯様のナイス機転と口説き文句で、桃太郎&そのお供の3動物達はめでたく働き口を見つけたのだった。
そこで終わればいいのだが、お役所はそんな口約束では終われない。
申請書類が山ほど必要なのだ。
勿論そのへんは庶務である私の仕事。
もともと残したまま唐瓜くんの道案内に行ったせいもあり、午後10時を回った今でも私は机にかじりついて仕事中。
ぐう。
「おなかすいたなー…食堂もしまっちゃったし。」
どうしようもないから早く終わらせる以外に方法はない。
うん、朝必要なやつだけなら日付変わる前には(たぶん)帰れる(筈)!!
ぐすぐす言いながらも全力でペンを走らせていると、部屋のドアが開いた。
「…まだ残っていたんですか、柳川さん」
「あ、鬼灯様!」
おおう、鬼灯様を見れるHPがちょっと回復するね。
あぁ、時折覗く鎖骨がせくしーすぎる…
「…仕事終わらないんですか?」
「あ、ハイ。昼間遊んじゃったのでまだいろいろと…」
「あとどれくらいかかりそうなんですか?」
「え、あの、その…とりあえず日付変わるまでは頑張ろうかと…」
私がそういうと、鬼灯様はため息をついた。
「まったく…そんなんだから…」
「え?」
「いえ、なんでもないです。それより…これ、プレゼントです」
「え!!??///」
嘘何鬼灯様が優しい!??
マジで!?ついに私の想いが通じる時が…!!
「……ッッ」パクパク
「何金魚みたいなことしてるんですか」
いつも通り不機嫌そうな顔をした鬼灯様に渡されたのは、ちりんっと可愛い音を立てる小さな鈴がついた帯止めだった。
「え…え?なんで…いいんですか!!?」←めっちゃ嬉しそう
「嫌ならあげませんよ。一応、さっきの騒ぎで手間をとらせてしまったお詫びです」
「めっそうもない!!欲しいです!凄く欲しいです!!ありがとうございます!!!」
受け取った帯止めをマジマジと見つめる。
うわーうわー、よくわかんないけどすごい嬉しい…
「大事にします!」
「そうですね、折角あげたんですから、毎日付けてくれると嬉しいです」
「勿論毎日付けさせていただきますです!!!」