第9章 三日月宗近
痩せて小さくなってしまった審神者の身体を包む様に抱き締めて、三日月は言った。
それは、まるですがる様な声で、審神者の胸を締め付け目頭を熱くさせる。
主「有り難う御座います、三日月」
それでも彼女は凛として返す。
それでも弱さを見せてはくれない審神者に、三日月は何処かホッとしていた。
二人はそれから暫く沈黙の中、月を見上げていた。
三日月「さて、そろそろ戻るか。主の身体を冷やしてはたいへ…っ!?」
主「いやっ!」
沈黙を破ったのは三日月。
審神者の身を案じ、再び抱き上げ様と立ち上がろうとした瞬間、審神者が三日月に抱きついた。
驚き、目を見開く三日月。
主「まだ……いえ、何でもありません。戻りましょう…」
三日月「………ああ」
初めて見せた彼女の主張。しかし、すぐに笑顔を浮かべてしまう。
三日月は一瞬眉が下がったものの、何とか声を絞り出して返事をした。
それから、三日月は審神者を抱き上げ、審神者部屋へと戻った。
主「三日月…私、お願い事があるんです」
三日月「ん…どんな願いだ?」
審神者部屋に戻り、彼女を布団に下ろした。途端、布団の上に腰掛けた彼女が静かに述べた。
不思議そうに三日月が問う。次の瞬間、審神者は三日月に抱きついた。
主「……い…で……私を、忘れないで下さい…っ!」
それは、今まで見せる事の無かった彼女の弱さ。
もう身体はとっくに限界を通り越し、今現在も悲鳴を上げている筈なのに、彼女は叫ぶ。
三日月という存在に、自らを刻みつけるかの様に。
三日月は彼女を抱き締めた。
三日月「忘れられる筈があるまい…っ、俺は…お主が…!」