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審神者が死んだ日

第8章 加州清光





遠征での資材調達の最中、加州は主である審神者の事ばかりを考えていた。
苦しんでいないだろうか、ちゃんと寝ているだろうか、咳をしたりしても誰かが背を擦ってやってくれてるのか。
彼女の事となると、浮かんでくる心配事は止む事が無かった。



大和守「気になる?」



加州が地面に転がる石を、ただボーっと見詰めていた時だった。不意に大和守が加州の隣に歩み寄り、何気無く問い掛ける。
その言葉の意味を聞かずとも理解出来た自分に、果てしない悔しさが募る。



加州「まあね」



そっぽを向いて素っ気なく返事をしたのは、不安な自分を見せない為。
いいや違う、自分自身で気付かない為だったのかも知れない。



大和守「何年だっけ?」


加州「明日で丁度、72年」



審神者として彼女が就任してから、もう72年だ。
審神者就任してから、毎年必ず周年記念を祝ってきた。勿論、一番最初におめでとうと声を掛けるのは加州の特権だった。



大和守「もうそんなに経つんだ?主も歳いく訳だね」


加州「主は変わってない。俺に笑い掛ける顔も、好きって言ってくれる優しい声も、可愛いって褒めてくれる温かい心も…全部、変わって無いっ!」



主が大好きである加州には、大和守の言葉は許しがたいものだった。
両手の拳を握り締め、吐き出す様に訴える様に言葉を紡ぐ加州。
その様子に大和守は眉を下げた。


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