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審神者が死んだ日

第7章 愛染国俊





そうこうして、三振りが彼女を連れてやって来たのは本丸の敷地内にある拓けた場所。
皆で力を合わせ造り上げたとされる祭の出店は、本物のそれと大差無く造られていた。
その景色に彼女は、年老いて皺だらけの顔を更にしわくちゃにして目を輝かせて笑った。



愛染「…っ…な、すげぇだろ?俺もほら、あの飾り付けとか手伝ったんだぜ」


主「あれを…愛染が?とても上手ね、流石はお祭り好きの愛染だわ」



彼女の口調は老いを感じさせない程に、流暢だった。
まるでこの本丸の審神者に就任した時の、愛染と背丈の変わらぬ幼い少女であった時の様に…彼女の瞳は輝いていた。

年老いて小さくなってしまった彼女を乗せた車椅子は、小さな短刀である愛染でも押せる位に軽い物だった。
その軽さが、彼女と自らの差であると感じて愛染は眉根を寄せ表情を曇らせた。

祭の最後、愛染が自らずっと貯めてきたお金で買った花火が打ち上げられる事になっていた。



愛染「ほら主さん、あっちに花火が上がるからな?」


主「………楽しみだわ」



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