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リクエスト【ONE PIECE】

第1章 其の血の味は終ぞ知らず


それよりも、ルッチに認知されていたことと、ある程度能力を認められているであろう言動に少し驚いた。
確かに私は戦術を図ることが得意で、それを組織に評価されてきたのだ。

「作戦はお前に任せる。殺るのは俺の仕事だが、自分の身は自分で守れ。邪魔はするな」
「そのつもりです。では、詳細は現地で」


淡々とした、事務的な会話が一通り終わると、ルッチはさっさと自室へ籠ってしまった。
初見は曲者揃いのCP-9の中でも、一際扱いにくそうだと直感したものの、対等な立場で問題なく進められそうなことに、ひとまず胸をなで下ろした。

この業界はどいつもこいつも、自分が一番強くて偉いと信じて疑わない輩ばかりだ。
暗殺を生業としている都合上、人の入れ替わりや人数の増減は多々あれど、CP-9も例外ではない。
そういう輩をうまくコントロールすることは、任務遂行にあたって最も重要であり優先すべき課題である。
実力の伴わない愚図は力づくで捻じ伏せ分からせてやるが、実際に格上の相手は気分を害さないよう巧みに誘導する。
それも私の仕事であり、組織に期待される役割のひとつでもあった。

ロブ・ルッチに至っては、実力は言わずもがな、精神の成熟度も相当高く見える。
先の会話からは、適材適所を把握し、任務遂行を最優先とする合理主義者であろうことが伝わった。
この時点で任務の遂行に支障がないように思えたが、もう少し彼の人間性について分析したいところだ。
一見関係なさそうに思えるが、ここを測り違えると、後々任務に響いてくることを経験で知っていた。
そのあたりは明日の任務中にでも伺い知るとしよう。


船室の窓から見える外の様子が夕刻を告げている。
到着は明朝、読書に耽りたい気持ちを抑えて、今できる範囲で作戦を詰めておくことにした。
資料を広げ、采配を検討するためルッチの言葉を思い出す。

そういえば、鳩のことを聞き忘れてしまったと、口元の緩む自分がいた。




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