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リクエスト【ONE PIECE】

第2章 透鏡越しに 揺蕩う熱※


「そこでxxxxの素顔を初めて見て、その…一目惚れっていうか…」

サボは視線を外して、少し照れくさそうにしている。
そう、話をしながら手を動かしていた私は、部品の細部を見るために、途中でサングラスを外した。
サボが急におとなしくなったことをその時は気にもせず、そのまま記憶の片隅に追いやられていたのだった。

「そう、だとしても変わってるのね。私が何て呼ばれてるか知ってる?地味女とか、ボスの片腕とか…」
「自分を持ってるってことじゃないか、その方が魅力的だろ?それに、皆素顔を知らねェだけなんだ」

いや、知られたくねェけど…と、サボはころころと表情を変えて話し続ける。
自分を持っている、そう言ってもらえたのは素直に嬉しかった。

「コアラとベティには、xxxxが美人って今更何言ってるの?ってあしらわれたっけ。サボくんには無理だよとも言われたけど」
(それでコアラはあの態度だったわけか…)
「xxxxのことは尊敬する仲間の一人と思っているし、皆に優しくて頼り甲斐あってかっこいいとも…。でも、俺は男として、xxxxを護りたいんだ」

サボの眼差しは真剣そのもので、間近で見つめられて恥ずかしくても、逸らすことができない。
こんな風に私の本質を見ていてくれて、認めてくれた人はいただろうか。
薄暗い瓦礫の中ではなく、もっとロマンチックなシチュエーションだったら、流されていたかもしれない。

「そう…わかった。じゃあ」
「付き合ってくれるの!?」
「そ、そんなこと言ってない!それに、貴方はコアラとお似合いだと思ってたのに」
「えっ!?それって…嫉妬…?」
「もう…。ここから出るよ、協力して」


この場所は奇跡的に空間を保ってはいるが、いつ倒壊してもおかしくはない。
サボ一人なら外壁を破壊して脱出できるかもしれないが、私を抱えては難しいだろう。
加えて、この様子では私を置いていくことも傷つけることも許さないだろう。
そうなると、助けを待つのが一番いい。
救援要請をする手段は、一つだけあった。

「サボ、私の右足に括られたポーチを取ってくれない?救難信号を送る」

救難信号は、通常の弾幕とほとんど見分けがつかない工夫が施されているため、護衛チームにしか判別できないサインだ。
幸いにも、今の体勢のまま銃を構えれば、瓦礫の隙間から外へと放つことができそうだ。
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