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リクエスト【ONE PIECE】

第2章 透鏡越しに 揺蕩う熱※


「総長、相変わらずね。もう堪忍して、付き合っちゃえばいいのに」

愉快そうに話しかけてきたのは、軍隊長のベティだ。
今日は良い天気ですね、の代わりにこの話題が持ちかけられて、もう何度目になるだろう。
このネタでいじられる(と言うほどでもないが)ことにもすっかり慣れてしまった。

「相変わらずなのは、貴女の豪快な服装ですよ。他人事だと思って…」
「あら、てっきり背中を押してほしいのかと」

ベティは、美しく豪快な外見をした革命軍幹部で、とっつき難そうな態度や言動をしているものの、根は優しい女性だ。
今もこうして、からかい交じりではあるが、彼女なりに私を気遣ってくれている。

「ご冗談を…。それに、サボにはコアラの方が、よっぽどお似合いだと思いませんか?」
「ん?そんな風に思ってたの??」

そういう可愛いところがいいのかもね!と笑顔で返すと、ベティは自身の統括する東軍が集まる方へ去って行った。
彼女の示唆したことはよくわからなかったが、きっと励ましの意味だろうと、深く考えることはしなかった。


*


革命軍とは、現政府、とりわけ天竜人への反逆思想のある者たちの集団だ。
分け隔てなく助け合い、誰もが平等である世界こそが平和であると主張する。
海賊などによる暴動を鎮圧し一般市民を保護することも活動の一環ではあるが、それはただの人助けではない。
これがニュースになれば革命軍の存在や影響力を世に示すことができるし、助けた市民の中から入隊志望者を募ることもできる。
我々の活動一つひとつが様々な思惑を孕んでおり、それらは全て、政府への宣戦布告の準備へと繋がっているのだ。

今回向かった現場も、その活動のひとつだった。
海賊の暴動を鎮圧しつつ、市民の保護をする。

現地に近付く部隊を遠目に見つめながら、我々護衛チームも動き出す。
いくつかある革命軍の隊のうち、この島に来たのはサボの部隊だけだ。

一般兵の護衛は部下に任せ、私は総長であるサボをよく見渡せる高台に足場を作った。
狙撃手とは、敵も味方も良く見渡せ、且つ敵の死角を付く場所を見つけ出す達人でもある。
部下たちも皆、現地の地形図を頭に叩き込み、早々に足場を固めたようだった。
各々の持ち場に付き、息を潜めている。

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