第3章 意外な一面
『それ聞いて反応なかったら諦めろ』
と電話越しに笑う巻島が思い浮かぶ。
「名は俺のファンじゃないのか!?」
すると不思議な表情で
「私、東堂君のファンだったの?」
と返されてしまい
(それはこちらが聞きたい事だ!)
と、そのままお互い何も言わない微妙な空気のまま授業が始まってしまい、放課後になってしまった。
「んだよ。結局東堂の早とちりかよ」
「うるさい荒北!」
「あんなに悩んでたのに残念でしたね東堂さん」
「真波、もう少し言葉を選んであげろ」
「いやぁ、皆それぞれきついなぁ」
「・・・・」
練習中、結局東堂の早とちりとなった今回の件についてメンバーが語り合う。
「お前達うるさいぞ!」
「まぁまぁ」
となだめてくる新開に、馬鹿にした笑みを向けてくる荒北、
「まぁまぁ」
と面白がっている真波に、気づかってる様子が分かる泉田、福富は何も言って来ないが言いたい事は何となく分かっている。
「・・・ほっとけ!」
と少し反抗的になりつつもコースを周り、山を登り、戻ってきた頃には
「ふっ、俺もまだまだだったな。」
と吹っ切れており、
「少し自惚れ過ぎたか」
と苦笑していて、その様子に
(((ポジティブな奴め)))
と皆が思った。
それからというもの東堂からの名への誘いはすっかり落ちつき、お互い今まで通りの日々が戻る。
しかし、
「おはよう東堂君」
と朝の挨拶はもちろん
「行ってくるぞ名!」
と帰りの挨拶もそのまま変わらず。お互い口には出さないがそれが妙に安心して
「おはよう名」
「行ってらっしゃい東堂君」
と名からの挨拶が東堂から、東堂からの挨拶が名からになることも増えてきた。
そんなある日、いつもの様に朝の挨拶を交わし、隣に居る名をみつめて
「不思議な奴め。俺に気づくくせに全く興味がないなんてな」
と東堂は笑みを浮かべてそんな事を言った。
「・・・でも興味がなかったら気づかなくない?」
「それは言えてるな。けれど名は全くと言っていい程部活を見に来ないではないか」
それは同じ事だぞと言う東堂に