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【弱ペダ·東】ビタミン剤

第4章 気づかないままで


何をされるか察した名は
「東堂君が見せたかったのって頂上とる姿でしょ?」
と照れながらもそう言う。
「部員の子がここだって言うし」
としどろもどろで続ける間、尚笑顔を向けてくる東堂。
「東堂君の見せ場は頂上だと思うし、私も、まぁ、見てみたかったし」
そして
「結局は見られなかったんだけど」
と少し申し訳なさそうに言って
「けど登ってる姿は見れて、かっこ良かった」
と笑顔で返す名が東堂には愛しく感じ
「そんな表情みたことないぞ!」
と思っていた事が口にでてしまっていた。
「そんなってなによ!?」
勘違いから少し怒る名に、
「そんな可愛い顔っ、いつもそうしていたら良い!もったいない!」
と予想外の発言をする東堂に呆気にとられてしまう。そして、それに気づかず続ける東堂
「いやっ!しかし待て、いつもだと逆にもったいないか?」
と考えだし
「あぁ。俺と居る時だけでも良いな!」
と満面の笑顔を返す。
名はという、そう何度もその笑顔でごまかさられないぞ!と思いつつも、
「独り占めだな!」
と満足気な東堂の表情に何も言えなくなった。
その後、部員達を先に行かせてバスで帰るという名に付き合う東堂。
「次はちゃんと頂上で見ていてほしいものだ」
「次はないよ?!」
「なに!?さっき格好いいと言ってただろう?!」
それはそれ、これはこれだと思う名とはうらはらに
「次はちゃんと頂上に来るのだぞ」
と東堂が隣で続ける。
「そうしてくれると嬉しい」
いつもより少し真面目な横顔、
「ファンが居るじゃない」
「俺は人気者だからな!ファンが来るのは自然な事だ。だがその中に名が居ると嬉しさは倍増だ」
その笑顔は東堂と別れた間も忘れられなかった。
今日一日で東堂の色んな面を見て、最後の笑顔を思い出すとぼんっと顔が赤くなるのがわかる。
(いや、けど東堂君だよ?!)
自分を可愛いと言って特別扱いを受けるのは嬉しい、けれどもそれは東堂に言われたからだとも思う。
(あぁもう)
東堂が人気なのは皆に対等で、自分の存在を喜んでくれるおかげで自分を好きになれそうな気がするからかもしれない。
(だから自分が特別だと勘違いしちゃダメだ)

お互い恋するまではもう少し先のお話。

その間双方は互いのビタミン剤。
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