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【弱ペダ·東】ビタミン剤

第2章 気づいたのは ver東堂


女の子達の声。
黄色い声援。
シャッター音。
全てが聞こえる空間を作り出せるこの俺の技術。
皆俺を見れば自然と目についてしまう!
なのに。
(なぜだ)
なぜ名は俺を見ても何も反応しない!
俺か隼人かだったら俺のファンだろうに、練習中でも試合中でもファン達の中に現れない。
一体どういう事か。
「おはよう東堂君」
「おはよう名」
朝、登校時間に会えば挨拶をかわす。
しかも、殆どが名から来てくれている。
授業中、昼休み、時たま部活中に見える名の姿。そして名からの熱い視線を感じて本人の元へ向かえばそんな事はないと言った態度。
「どうしたんですか東堂さん?」
部活の練習中、山だと言うのにいつもよりテンションが上がり切らない東堂に真波が声をかければ
「はぁ真波よ。俺というものが一人の子に若干、若干な、振り回されている」
「あれですか?総北の巻島さん?」
「巻ちゃんではない!確かに巻ちゃんにも振り回されることはあるが!」
(それは逆ではないのかなぁ)
と声には出さずにいる真波に
「ファンと言えどもその場に居ない事も当然ある!別にそれはそれで構わない!!だが!」
一度位来るはずだ!気になるはずだ!と言う東堂に
「あぁ、分かった。東堂さんその子に応援してもらいたいんですね」
と真波の言ったことは東堂に複雑な気持ちを残し
「お、俺は皆のものだ!」
「皆の東堂さんと、その子の東堂さんはきっと別者ですよ」

「・・・・さっぱり分からん。」

名が思う俺と皆の思う俺は同じで、同じならば同じ様に俺を見ていてほしいのに
(真波の言う通りなのか?)
とそう思った途端、真波に仕掛けられそうになったのに気づき止めに入る。
「ちぇっ、今ならいけると思ったんだけどな」
「ふふん、まだまだ甘いぞ真波!」
とそのままスピードを上げる東堂に真波もやれやれと言った様子で結局のところ女よりも山、しかし今はその山よりも気になる存在が居る事を認めたがらない東堂に新鮮さを感じていた。
それからというもの
「練習でも試合でも良い。一度俺の走りを見にこい!」
と東堂は名を誘うようになり
「東堂君、、、、一体どうしたの??」
「名は俺の走りを見に来ないだろ?」
「そ・・う、だね」
「だから一度来てみろ」
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