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【弱ペダ·東】ビタミン剤

第1章 気づいたのは


そしてその後も、その後も時たま外を見るときゃーきゃー言われている東堂の姿。
(東堂ファンは元気が良いなぁ)
と飛んで来るハートを浴びながら廊下を行く。
(何がそんなに・・・)
彼を好きになるのか。
「俺が負けることなんてないのだよ!」
自信家?
「格好いいからな!俺は!」
ナルシスト?
「いつも応援感謝している」
ファンサービスの良さ?
そうやって東堂君を観察してしばらく経つが
(面白い)
だいたいは自画自賛してる様な感じもするが
「この前はありがとう」
とファンの子達を覚えているようだし
「気をつけたまえ」
と廊下でぶつかりそうになった女子には優しいし
「そんな酷い事を言ってるとモテないぞ」
とちょっかいをかけてくる男子達への対応もやんわりとしてくれる。
(でも、やっぱり根本的には女好きな気も・・・)
とそんな事を思われてる事にも気づかずクラスの女の子達と楽しげにしている東堂を見てるとついつい笑えてしまい、そしてふと顔をあげると
「東、堂、、君」
「いやなに、視線を感じたのでな!そしたら名がうつむいてるじゃないか、心配しにきたら笑っていたから安心した」
とそう言って、先ほどの皆の輪に戻っていった。
こちらを伺っていたその輪に東堂が戻ると生徒達は一瞬で笑顔になり、

(あぁ)

とその時、何か妙に納得してしまった。

(ビタミン剤みたいな人だ。)

冷静そうに見えるのに、元気を振り撒き、周りを明るくしてくれる。一瞬で自分達を笑顔にしてくれる。

(ただの一般人にそんな威力があるなんて凄すぎ・・・)

そうして改めて見てみれば、皆と笑い合う東堂は少しチャラそうに見えもして

(そこがまた良いんだろうな)

とつられて笑顔になっている自分に気づき、また少しおかしく思えた。
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