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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第20章 【ふたりの騎士道】白竜騎士団入団試験、開始


「あぁ、あれね。本当よ」
「そっかぁ…」
どうやらヴェインは、アーサーとモルドレッドが無銭飲食しようとしていた事に気づいていなかったらしい。ランスロットは今の面接とその件も加えて、彼らを見極めるのに悩んでいるようだ。
「騎士にあるまじき行為、ではあるわよね」
「…だが、彼らがそうせざるを得ない環境を作りだしてしまった俺達にも責任はあるんじゃないかと思ってな」
アーサーとモルドレッドは、孤児院の出だという。世間的に立場の弱い自分達は強くなるしかなかった。そして、同じように弱い者達を護る為に騎士になりたいと。
「確かにこれは、難しいわね。弱い者を護りたい、っていう志は、良いものだとは思うけど…」
「…ランちゃん…だったら俺に、あいつらの班長をやらせてくれないか!」
力強い意思を秘めた瞳で、ヴェインが真っ直ぐランスロットを見つめる。
「それは、構わないが…」
「俺だったらあいつらに、ウマい飯も腹いっぱい食わしてやれる!試験中は、だけど…」
そう、いつまでも面倒を見てやるわけにはいかない。それはヴェイン自身もわかっている。だがそれでも、とまた視線を上げる。
「もし…あいつらがまた悪い事をしようとしたら、俺が体を張って止めてやる!俺が責任もって面倒見るからさ!もう少し考えてくれないか?」
ヴェインの言葉を受けたランスロットは、穏やかな笑みを浮かべた。
「…あぁ、もちろんだとも。俺達が考えた試験制度は、彼らの様な子の為だ」
貴族でもない、騎士の家系でもない、ごく一般的な子どもでも騎士になれるように。
「だから、お前にあの二人の少年を見極めて欲しいんだ。モルドレッドとアーサーが、騎士として相応しい人間かどうか。彼らに、〝騎士道精神〟が宿る可能性があるのかどうか…」
「あぁ、わかったぜ!俺に任せてくれ!」
「ふっ…頼んだぞ、ヴェイン」
二人の語り合いをきき、サフィアは「ふーん」と小首を傾げる。
「随分と、入れ込んでるのね?」
「最初に、おっすごいな!って思ったのもそうだけどさ、なんかほっとけないっていうか、他人の気がしないっていうかさぁ」
サフィアも含め、三人とも平民の出だ。彼らはさらに、孤児院の出。彼らが立派な騎士になれば、これからの未来により希望が満ちるかもしれない。
「なら私も、あの子達を見守るとしましょうかね」
三人で笑みを浮かべ、希望をもって、頷き合った。
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