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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第18章 【FTEP】気高き白竜と聖なる御心


ただならぬ気配を感じ取ったのか、自然と道が開かれた。両の手に剣を握った彼女は、口元に笑みすら浮かべて彼を見据えている。その姿を見て、彼もまた笑みを浮かべた。
「どうしたんだ?その剣は」
「〝これ〟が見たいって、貸してくれたやつがいてね」
「…なるほど」
軽く言葉を交わすと、どちらからととなく構える。周りの団員達も、シャルロッテも、邪魔をしないようにとそばから離れて見守っていた。先程の団長同士の戦いと同じく、一騎打ち状態である。
「はっ!」
先に床を蹴ったのはサフィアだった。甲高くそれでいて重い音が鳴り響く。
「くっ…衰えてないなっ。それは封印していたんじゃなかったのか?」
「実は鍛錬は続けてたって言ったら、どうする?」
「それは…賞賛に値する、なっ!」
ギィィィンと大きな音を立てて弾かれる。と同時に駆けてくるランスロットを、すぐさま体勢を整えて待ち受けた。そのまま激しい打ち合いが繰り広げられる。それは先程のシャルロッテとの手合わせと、勝るとも劣らないのではないかと思えるほどのものだった。
「す、すげぇ…あの人あんなに強いのか…」
「いやぁ久しぶりに見るけど、医療騎士にしておくの勿体ないと思うんだよなぁ。ヴェイン副団長と一緒に副団長をやれるレベルだろう、あれはもう」
「そういや…なんであの人医療騎士なんだ…?」
「さぁ…?」
外野で口々に話す騎士達の声はきこえていない。剣の打ち合う音と空気を切る音、互いの息遣いだけが耳に入り込んでいた。だがさすがに体力の限界がきたのか、サフィアの調子が崩れ始める。
「っ!」
反応が遅れ、その剣が片方、弾かれてしまった。直後、その首筋に剣があてがわれる。ぴた、と動きを止めた後、サフィア大きくため息をついた。
「参ったわ…」
「使い慣れない剣だったのが、仇となったな」
「そうね…」
弾かれた剣を拾い、持ち主に礼を告げて返す。なぜかシンと静まり返った場に、なんとなく気まずくなった。
「えーと…?」
「ほかに挑む者はいないか?」
どうしよう、と思っていたところにランスロットの声が上がる。ぐるりとあたりを見渡すが、進み出てくる者はいない。皆、ランスロットとサフィアの凄まじい手合わせを目にして、〝腹がいっぱい〟状態になってしまったのである。キリがよくなったので、これにて合同演習は、成果上々で終わりを迎えたのだった。
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