第15章 【氷炎牆に鬩ぐ】氷炎牆に鬩ぐ
「このまま…終わる訳には…ならば…かくなる上は…」
「兄上ッ!」
不穏な予感がはしったパーシヴァルがアグロヴァルへと駆け寄る。だがそれをすり抜け、アグロヴァルは直接幽世の鍵へと自身の魔力を流し込んだ。
「うぉおおおおお!この命…貴様にくれてやるわぁああああ!!」
アグロヴァルの魔力に反応し、幽世の鍵が起動を始める。
「兄上!もうおやめください!」
「……さらばだ、弟よ…」
「兄上ェェェェェ!」
パーシヴァルの叫び声も虚しく、アグロヴァルは幽世の鍵に取り込まれた。だが今なら、まだ倒せば希望はある。
「くっ…」
「パーシヴァル…」
歯をかみしめ拳を握り締めるパーシヴァルに心配そうな声をかけるヴェイン。だが、パーシヴァルは頭を振ってこたえた。
「俺は…大丈夫だ。今は嘆いている時では無い。こいつは俺が命を賭して止める」
パーシヴァルは真っ直ぐ幽世の鍵を見据え、そして仲間達を見た。
「グラン…お前達…頼む…俺に力を貸してくれ!」
強靭な精神力で堪えたパーシヴァルは、力強い意志を込めて己の武器を掲げる。それに、各々が応える。
「当たり前だ。だが忘れるな…お前は一人ではないとな」
ジークフリートが。
「パーシヴァル…この力、お前に託そう」
ランスロットが。
「大丈夫、まだ希望はある。俺の力も、使ってくれ」
ヴェインが。
「私も力を貸すわ。でも、命を賭しては駄目。ちゃんとみんなで生きて彼を止めるのよ」
サフィアが。
「パーシヴァルさん、私の力も、預けます」
ルリアが。
「僕達もついてるよ」
「そうだぜ!パーシヴァル!」
グランとビィが。
それぞれがパーシヴァルの元に集まり、彼と己の拳を合わせる。最後に、グランがパーシヴァルに拳を合わせた。
「恩に着る」
幽世の鍵の雄叫びをきき、一同は己の武器を構えた。
「これが最後の戦いだ…行くぞ!」
異形のものとの戦い。空の平和を守るため、騎士と騎空士は全身全霊をかけて奮った。