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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第15章 【氷炎牆に鬩ぐ】氷炎牆に鬩ぐ


ギリ、と奥歯を噛み締める。今から急ぎ戻ったとして、間に合うかどうか。そもそも、王都に今ある軍備で、到着するまで守り切れるかどうか。
「諦めるな…ここで折れては、相手の思うつぼだぞ!」
パーシヴァルが声を上げるが、白竜騎士団の三名は焦りと動揺で困惑している。その時、地下空間に新たな足音が響き始めた。
「さて…そろそろ伝令の兵が戻ってくる頃合いか」
アグロヴァルが入口に目を向ける。黒い影が、そこから現れた。
「待たせたな」
その身に染みた声に、思わず思考が停止した。そしてアグロヴァルが驚愕の声を上げる。
「なっ!?き、貴様は、ジークフリート!」
黒き鎧の竜の騎士、ジークフリートは、アグロヴァルに顔を向けた。
「氷皇アグロヴァルか…ここを探すのに、少し手間取ったぞ」
「ジ、ジークフリートさん!」
「うえぇっ!ジークフリートさん!」
「ジークフリート!」
「な、なんでここに?」
意外な人物の登場に、面々はそろって驚愕の声を上げる。ジークフリートは彼らを見やり、静かに語り始めた。
「フェードラッヘに迫っていたダルモア公国は、先程自国へと退却した」
「馬鹿な!…口から出まかせを言うな」
「でまかせではない。この通り、ダルモア公国と同盟を結んだ調印所もある」
「同盟…?」
ジークフリートは、ランスロット達がウェールズ軍の相手をしているうちに、カール王の親書を持ってダルモア公国に大使役として赴いていたという。この短期間で一体どんな手を使ったのか。この状況に思わぬ吉報で、ランスロット達の気は一気に高揚した。
「うぉぉおおお!すげぇぜジークフリートさん!ジークフリートさんって、ただ強いだけじゃなくて、交渉とかもできたんだなー!」
「ふっ…ヴェイン、心から賞賛してくれているのは伝わるが…その物言いだと、今まで俺が戦闘しか能の無い男だと言う事になるぞ?」
「あっ!え…いや!そういう意味じゃなくて!ごごご、ごめんなさい!」
そんなやりとりに、思わず笑みがこぼれる。
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