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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第15章 【氷炎牆に鬩ぐ】氷炎牆に鬩ぐ


ウェールズ軍を撃破してアグロヴァルの居場所を聞き出した一行は、地下空間へと足を踏み入れた。そこは以前、パーシヴァルとグラン達が、幽世の門を開くという話をアグロヴァルから聞いた場所だった。
「兄上…やはりここでしたか」
「来たか、パーシヴァル」
弟の登場に、アグロヴァルは小さく笑みすら浮かべている。
「氷皇アグロヴァル。大人しく観念しろ…」
「もう逃げらんねぇぜ!パーさんの兄ちゃんよぉ!」
ランスロット、ヴェインが得物を構える。だがアグロヴァルはとても〝観念〟する様子は見せない。
「兄上…こんな非道な真似は今すぐお止めください…」
「断る…と言ったら?」
「俺が、止めます」
パーシヴァルの決意。だがアグロヴァルは小さく笑った。
「弟よ…お前は何故、そうまでして我に刃向うのだ?」
兄の問いに、パーシヴァルは苦し気な表情を僅かに浮かべて答える。
「それは…兄上と俺の道が、違えてしまったからでしょうか…」
「そうか…我らはいつか、決して交わらぬ道を歩いていたのだな」
「…兄上こそ何故、異形の力を借りてまで争うのですか?」
「我には、我の理想がある。あれはそれを叶える為の代償だ」
パーシヴァルの問いにアグロヴァルは一寸の迷いも無く答えた。それはパーシヴァルの声を荒げさせる。
「あの様な輩の力を借りて…何が理想なのですか!」
「理想か…。お前の理想は…争いの無い…力無き人々でも暮らせる平野な国造りだったか?我はお前の理想を否定せぬ。だが…何も学んでいないな」
ふう、と息をつくような間のを置き、アグロヴァルは続ける。
「人は弱い…。身体も、心までも、弱く脆い。そして…その本質は、悪だ。いくら高尚な説法を解こうが、これだけは翻らぬ魂の本質。誰かが厳しく管理せねば、いつか必ず道を踏み外す」
「だとしても…俺は…そうは思いたくありません」
アグロヴァルの言葉をきき、パーシヴァルは否を告げる。
「たとえ道を踏み外して…過ちを犯したとしても、それでも人の可能性を信じたい!」
「フン…。お前がどんな高邁な理想を語ろうと、強い光は必ず濃い影を落とす。お前が信じようが信じまいが、強き者が上に立てば、自ずと影は消えてゆく…」
「……兄上…」
「これ以上の対話は無駄だ…。血を分けた兄弟とはいえ…争わなければならぬのは、心が痛むな…」
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