第7章 【亡国の四騎士】王都撤退戦
王都の地下に存在する秘密の地下通路を進んで行く。その最中、不意にパーシヴァルがランスロットに問いかけた。
「しかし、お前ほどの男が手玉にとられるとは…王都で何が起きた?」
ランスロットは、叙任式で起きた出来事を一行に話した。杯の酒を飲んだ途端、カール王や周りの騎士達がおかしくなり、自分も違和感を感じたのだという。そしてその酒を出し、イザベラのそばにいたのは、ガレスだった。
「…今思えば、ガレスが杯に何かを仕込んでいたのだろうな」
「なるほど…ではガレスとイザベラが通じていた線が強いということか」
「ああ…信じたくはないがな」
ガレスはランスロットの補佐として彼を支えていた人物だ。そんな身近な者に裏切られたとなると、ショックの高は大きい。
「ええっ!?ちょっと待って!てか、叙任式ってもう終わってたの!?」
「え?あぁ、ヴェインとサフィアの姿が見えなくておかしいとは思っていたんだが…」
「ち、ちくしょう…ランちゃんの晴れ舞台が…」
項垂れるヴェインを、サフィアがじろりと睨みつける。
「ほら!ヴェインのせいで見れなかった!!」
「俺のせい!?」
ヴェインがあちこち勝手に行くからでしょ!と怒鳴りつけるサフィアを見てランスロットは苦笑する。
「いや…でも散々な舞台だったし、むしろお前達は来なくて良かったぞ?」
「そんな話はどうでもいい」
戯れのような会話をする三人をパーシヴァルが一蹴する。
「問題は、奴らの力の源泉が何かということだ」
「それなら…パーシヴァルさんの方が詳しそうでしたけど?」
ぽつりと言ったルリアに皆の視線が集中する。それにグランも続けた。
「確かに。何か知ってそうだったよね」
「俺が知っているのは、あの痣についてだ」
あの痣というのは、ガレスの首元にあったものだ。パーシヴァルは昔、あの痣と同じ模様の魔法陣を生家の書庫で見たらしい。
「なっ!?ウェールズ家でか!?」
ランスロットが驚愕の声を上げる。
「あぁ。確かあの魔法陣の効力は、人々を意のままに操るチャームの力だったはずだが…」
それが本当なら、カール王や騎士団員達が操られているのにも納得がいく。とその時、一行の後方から追手の騎士達が迫って来た。
「皆、ごめんね…!」
無駄に傷つけないように気をつけながら気絶させ、一行は先の道を進んだ。
