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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第1章 【救国の忠騎士】王都防衛戦


気づけば避難場に魔物が侵入してきていた。ここにいるのは怪我で動けない騎士ばかりで応戦できる者はいない。グラン達も駆け戻って来てはいたが、魔物達によりルリアに近づけないでいた。サフィアもまた同様である。懐に忍ばせているモノを使えば或るいは対応できるかもしれないが、人が多いこの場で使うのは危険だ。万事休すか。魔物がルリアに襲いかかろうとした、その時だった。
突如黒い影が現れ、魔物を引き裂いた。
その姿を目にして周りは動揺する。
「…ジークフリート、さん」
サフィアが呟く名の敬称は消えそうなくらい小声である。彼はこの国の大罪人。今では皆、彼を英雄のように呼ばなくなっている。
ルリアを助けたジークフリートは、周りが自分に気づいて騒然となると、ひとつ舌打ちをした。
「ジークフリート!!貴様…今度こそ逃さんぞ!」
「熱くなると…すぐに目の目にしか見えなくなる。お前の悪いクセだ、ランスロット」
言われてハッと気づく。群がって来ていた魔物を一閃してジークフリートは、ルリアの身柄をそっとグランへ引き渡した。
「ジークフリート…何の真似だ!敵に塩を送ったつもりか!」
「敵…敵か。やはり、お前は何も見えていないな」
「なんだと…?何を言っている!」
ジークフリートの意味深い言葉にランスロットは眉を顰める。ジークフリートは冷静な声で、諭すように続けた。
「国に忠を尽くす真の騎士として、お前はまだまだ未熟だということだ。…もっと自分の眼で周りを見ろ」
それだけ言うと、彼は突如駆け出した。
「待てっ!逃すか!」
「おい、ランちゃん!冷静になれっての!」
ヴェインが声を制止の声を上げるが、ランスロットには聞こえていないようだ。彼はジークフリートの後を追って駆けて行った。そしてその後をヴェイン、グラン達、ソフィアも追う。
「ちょっ、皆行っちゃうの!?」
「俺達は大丈夫だ。サフィアさん、団長達を頼む!」
「あー、もう!わかった!皆、気を付けてね!」
肩に掛けていた医療バッグから小さいキットだけを取り出して鞄をその場の騎士に託し、サフィアも彼らの後を追った。
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