第3章 【救国の忠騎士】救国の忠騎士
「…醜い…あぁとても醜い!見た目ばっか綺麗でもね、中身が汚かったら意味が無いのよ!!」
サフィアが苦渋に顔を歪ませた。ジークフリートが静かに、だがその声色にはおぞましさを込めて語る。
「あぁ…醜いだろう。これが、今のこの国の本質だ。欲にまみれた狂人と、人の毒に侵された星晶獣。…国を腐らせる病巣の正体だ」
「ならば…その毒を取り除き、我らの国を病から救ってみせる!」
サフィアが、ジークフリートが、そしてランスロットが刃を構える。
「吹っ切れたな。俺達でやってやろうぜぇ!」
ヴェインもまた武器をしっかりと握り締めた。
「黒竜騎士団団長ジークフリート。先王ヨゼフの命に従い、この国に正しい秩序を取り戻す!」
「ジークフリート、さん…ごめん……俺……あんたをずっと憎んでた…」
ジークフリートの高らかな宣誓をきき、ランスロットは声を震わせながら彼に告げた。だがジークフリートは彼に目もくれず、シルフを見据えながら声を上げる。
「おい、ランスロット。こんな時に何事だ!戦場では敵から目を離すなと教えたはずだぞ!今は敵だけを見ていろ!」
「了解…!」
ジークフリートからの叱咤激励を受け、ランスロットは気を引き締める。
「同じく、白竜騎士団団長ランスロット!参る!」
「…へへっ」
二人の団長の姿を見て、ヴェインが嬉しそうな声を漏らした。サフィアと顔を見合わせ、頷き合う。
「同じく、白竜騎士団のヴェイン。参る!」
「同じく、白竜騎士団医療騎士サフィア!行きます!」
騎士達が己の武器と覚悟を手にシルフと対峙する。その背とシルフを、ルリアは悲しそうに見つめた。
「…ルリア、ここは私達に任せてください」
「ルリアはグランの傍にいて、シルフが弱ったら隙を見て力を使ってくれよな!」
ソフィアとヴェインに言われ、ルリアはグランを見る。グランはしっかりと頷いた。
「大丈夫。きっとシルフはわかってくれるよ」
「…はいっ!みなさんを信じます!」
ルリアの表情に力が戻り、気を引き締める。そんな一同を見て、イザベラが鼻で笑った。
「ランスロット…貴様も馬鹿な男だ。ジークフリートろ同じく、国家に仇なす逆賊の汚名を背負う事になろうとはな」
「俺は…もう間違わない!今こそ、この国の歴史を正すんだ!」
「くだらん!!貴様ら全員…ここから生きて帰れると思うなよ…」
