第3章 【救国の忠騎士】救国の忠騎士
「ヴェイン、サフィア」
応戦し兵達を倒したランスロットは、静かに二人に語りかけた。
「さっきはありがとう。お前達のおかげで、決心がついた」
「あぁ。いいってことよ」
「事実しか言ってないものね」
頷き、ランスロットはイザベラへと顔を向ける。
「イザベラ様…申し訳ありませんが、今の私にはあなたを信じる事はできません…。ご自身の身の潔白を証明する為にも、ここは大人しく投降してください」
「イザベラ…ワシも真実が知りたい。武器を捨てて話しあおうではないか」
「……わかりました、国王陛下…潔白を証明する為にも、大人しく従いましょう…」
王にも言われたからか、イザベラは意外にも素直に応じるかと思われた。だがしかし、それは直後、打ち破られる事となる。
「って…言うとでも思ったかぁ?どいつもこいつもピーピーピーピー騒ぎ立てやがってよぉぉお?」
本性を現したイザベラに、いつもの面影はまるで無い。思わずサフィアは「うわ」と声を漏らした。
「醜い…」
「あれが…あの方の本性…」
ランスロットもさすがの変わり様に顔をしかめる。
「…ふん、いいだろう!こうなったらテメーら全員地獄に送って、ぜ~んぶ真っ新にしてやるよ!」
イザベラはにんまりと笑みを浮かべると、声を張り上げた。
「シルフ様!どこにいらっしゃるのですか!?」
すると突然、どこからともなく玉座の間に星晶獣シルフが姿を現した。
「イザベラ?…みんな?怖い顔をしてどうした?」
状況が把握できていないシルフは、イザベラと、イザベラに向かって武器を構えるランスロット達を見比べる。
「シルフ様…このボンクラどもを黙らせてやってくださいまし!」
「ぼん…くら?状況がよくわからない」
シルフが首を傾げると、イザベラは形相を変えてシルフに怒鳴りつけた。
「うるっせーんだよ!こいつらはな、よってたかってお前を殺そうとしてるんだ!お前の加護で栄えたこの国の安寧を脅かそうとする逆賊集団さ!こいつらはぁぁぁッ!!」
「んなっ!?」
イザベラのとんでもない虚言に思わず声が上がる。シルフを殺して霊薬を民から奪うなどと、よくそんなでっちあげを言えたものだ。そして問題な事に、シルフはその虚言を信じてしまいそうになる。