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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第3章 【救国の忠騎士】救国の忠騎士


襲い掛かってくる警備兵達を蹴散らしながら、ジークフリートを先頭に一行は駆ける。その最中でもランスロットは苦悩し続けていた。
「しかし!毒を谷に投げ捨て続けるなど…陛下がそんな事を許すはずが無い!」
「恐らく…カール王はこの事実を知らない」
「ではまさか、シルフ様が…この国は、シルフ様の加護で栄えてきたのではないのか…」
ジークフリートの冷静な返答に衝撃を受けるランスロット。だがジークフリートは小さく首を振った。
「あの星晶獣自体は善悪を判断できない。星の民によって創られた時に定められた行動を繰り返しているだけだ」
生きているようで、生物の様で、対話はできても彼女はやはりヒトによって創られた〝兵器〟ということなのだろう。
「では一体誰が!」
煮えを切らして声を荒げるランスロットに、ジークフリートはあくまで冷静に黒幕の正体を告げた。
「執政官イザベラ。霊薬に関わる光と闇の側面は、全てあの女が握っている」
「イザベラ様が…嘘だ…」
信じられない、とランスロットがゆるゆると首を振る。国の為に尽している彼女が、こんな非道を行っているなど。しかし、それならジークフリートが慟哭の谷からの帰還中に彼女を襲ったのにも説明がつく。
「待て…ジークフリート!だが先代のヨゼフ様を殺害した件はどうなる!?忘れもしない…あの暴雨の夜!お前は…確かに血塗れのヨゼフ様を腕の中に抱きかかえていたはずだ!」
ランスロットの脳裏にあの事件の情景が思い出される。ジークフリートはやはり冷静に、それも全て仕組まれた事だと返答した。
「今となっては証明する手立ても無く、誰にも信じてもらえないだろうが」
あの夜、ジークフリートはイザベラに呼び出されて王の執務室に足を踏み入れた。その時にはすでにヨゼフ王は息も絶え絶えの状態だったのだという。
「王は『この国を正して欲しい』と、一言俺に最期の任務を託してくださった」
「ヨゼフ様が…そんな」
その後はイザベラの息のかかった騎士達によりジークフリートが王を殺したと騒ぎ立てられた。いまわの際にヨゼフ王に地下通路の存在を教えられてどうにか逃げ切る事ができたが、ジークフリートは、冤罪で英雄の名を剥ぎ取られ、国を終れる事になった。
「…、」
ランスロットは混乱と当惑で頭がいっぱいで言葉も出ないようだった。そんなランスロットの様子にもお構い無しに敵は現れ剣を向けてくる。
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