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蒼き空、竜の名のもと【グラブル】【四騎士】

第27章 【ビストロ・フェードラッヘ】オープニング


「はは…まったくその通りなんだ。サヴァランさんの言ったことは間違ってはいない。俺には騎士の才能だけじゃなく、料理で誰かを喜ばせる才能もなかったってことだ…」
寂しく切ない声が耳に沁み込む。なんとかしてやりたいのは山々だが、これは本人達の問題だ。今度こそサヴァランは店を出ようと身を翻す。ジャックはもはや引き止めることすらできないでいる。だが遠くなっていく赤いコートの背に、投げかけられた声があった。
「待ってくれ…!諦めるのはまだ早いぜ!」
え、と皆がヴェインを見た。サヴァランもぴたりと動きを止めて、振り返る。
「なに?」
「頼む!もう一度ジャックにチャンスをくれ!」
ヴェインは、ジャック同様床に膝をついた。
「金なら、俺が何とかして立て替える!」
そして躊躇うことなくサヴァランに向けて土下座をする。その様子にジャックが慌てて顔を上げさせようとした。
「お、おいヴェイン!お前にそこまで迷惑かけられるか!」
だがヴェインは頑として頭を上げようとしない。誰もが静かに見守る中、コツコツとサヴァランがヴェインに歩み寄った。
「…ヴェインと言ったな。言っておくが、私は別に金が欲しいわけじゃない。金なら腐るほど持っている。このビストロ・フェードラッヘは、私が閉店すると決めた。だから閉店するんだ」
「…一人の男がここまで頭を下げたんだ。少しぐらい話を聞いてくれてもいいだろう?」
そこへ助け舟を出したのはランスロットだった。
「貴殿がこの店を閉店したいのはわかった。が、どうすれば、考えを改めてくれる?」
そしてジークフリートも。有無を言わさぬふたりの気迫にサヴァランは圧倒されてしまう。
(脅迫じみてる…)
思わずサフィアきゅっと口を引締めた。
「うっ…騎士だかなんだか知らんが、私は暴力や脅しには屈せんぞ!」
負けじと胸を張り直すサヴァラン。そして、言い放った。
「私が屈するのは、私が認めた料理だけだ!」
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