第6章 気配斬り
智「ふふ おいらの勝ち」
おじさんの声とともに
包まれたのが匂いじゃなくて
その匂いの人に包まれている事に気がつく
キュッと 少し強めにハグされて
ニ「…気配には気づいてましたよ 私の勝ちです」
智「おいらの勝ちだよ だってニノ棒振ってねーじゃん」
ニ「あなた棒すら持ってないでしょう」
智「そ だからハグしたの おいらの勝ちな」
目隠しの結び目を解かれて
真っ正面には
私と同じくらいの目線にある ほわんとした顔
不意に思い出す
昔からお互い話すほうではなかったけれど
仲が良かった
多くを語らずとも分かり合えてるような
何をされても
それこそ電話の最中寝られても怒ることもなく
嵐になってからも
ずっと ぺったりしていた
私は 翔さんみたいにみんなを引っ張っていくタイプでも
守ってあげるタイプでもないけれど
気がつけば寄り添うようにとなりにいて
それが 普通であるかのように
いい歳の近頃じゃ
もうそんなにぺったりすることもなくなったけど
距離感は変わらないまま
この人が活動休止に入ったら
もう そんな風にしていることもなくなってしまうんだ
そんなことまでふと思ってしまったら
智「ニノ…?」
私の瞳からこぼれ落ちた涙は 止まらなくなってしまった