第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜
「でも、顔が赤くなった真白を、誰にも見せたくなかった」
「え……」
「あの時そう思ったのだけは、ちゃんと覚えてる」
「…………」
そ、それはどういう意味だろうか。
少し考え込み、すぐハッとする。
(もしかして、誰にも見せられないぐらい大変な顔してたかな……!?)
確かにあの時、羞恥心が最高潮に達して尋常じゃないくらい顔やら身体が熱くなったからそうなのかもしれない。
それで工が気を利かせてくれて、ここまで連れて来てくれたのか。
「ありがとうございます、工。おかげで助かりました」
「えっ!?……えっと、どういたしまして?」
感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げると、何故か驚いた声を出した工だけど、その後は私と同じように頭を下げた。
「ブフッ!」
「「!?」」
お互いにお辞儀をした状態でいると、近くから誰かの吹き出す音が聞こえてきた。それに驚き、顔を上げて工と見合わせてから音が聞こえてきた方に視線を向けると、そこには口に手を当て笑いを堪えている覚さんが立っていた。その後ろには他のみなさんもいて、温かい顔や呆れたような顔でこちらを見ていた。
「み、みなさん……!」
「いつからそこにいたんですか……!?」
「いつからと言われると、さっきだな。なあ、獅音」
「そうだな。……まあ、どうしてお互いがお辞儀をする状態になったかは分からないが、仲直り出来たんだな」
そう優しく言った獅音さんの視線が、繋がれている手に移る。
そこで思い出した。まだ工と手を握り合ったままだと。
「うわあっ!?ご、ごめんなさい!」
「い、いや!俺の方こそ強く握っててごめん!」
工と一緒になって慌てて手を離すと、限界がきたのか覚さんが「ブヒャヒャヒャッ!!」と大声で笑い出した。その遠慮のない笑い声に、せっかく通常に戻った体温がまた上がるのが分かった。
「そ、そんなに笑う事ないじゃないですか……!」
工に至っては涙目だ。