第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜
(……どこまで行くんだろう)
4階から3階、2階、1階と順に下りていき、今は1階の廊下を歩いている。その途中で何回か声をかけたけど結果は駄目で、今は諦めの境地に達している。
「あ……」
廊下を歩いていると、前方に体育館に行くための渡り廊下が見えてきた。それを見て、私はひとつの事を考えつく。
(もしかして、早く体育館に行きたかったのかな)
昨日も、終わったら顔に風圧が当たる程の勢いで行ったから、もしかしたらそうなのかもしれない。でも、もしそうなら行動で示すのではなく口で言って欲しかったなと思うと同時に、しょうがないなぁといった微笑ましい気持ちになる。
小さく笑いながら渡り廊下を渡って、部室に続く道を通る––––
「て、あれ!?」
と思いきや、何故か反対方向に向かって工は歩いて行く。これでは体育館の裏の方に行ってしまう。
「工…!部室は反対ですよ……!」
「…………」
「っ、工!!」
「!?」
何度呼びかけても反応してくれない工に、いい加減痺れをきたし握られている右手をグッと引くと、身体をビクリと揺らしながら漸く止まってくれた。その事に安堵の息を吐いていると、工はキョロキョロと周りを見渡し始めた。
「? どうしたのですか?」
「……どうして俺達、いつの間に体育館に来てるんだ?」
「え……?」
それは何の冗談だろうか。
そう思うけど、こちらを振り向いた工の顔は本当に困惑した表情で、嘘をついているようには見えない。
「お、覚えていないのですか?工は教室からここまで、私を引っ張って来たのですよ」
「……無意識だった」
「ええ……」
無意識で、よく今までどこにもぶつからず来れたものだ。
素直に感心していると、少し緩んでいた右手がまた強く握られたのが分かった。それに驚き工を見ると、真剣な表情でこちらを真っ直ぐに見ていた。その真剣な眼差しに思わず見入っていると、工は表情をそのままに口を開く。