• テキストサイズ

白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜


「!」

とその時、教科書などを鞄に入れ終えた工が立ち上がるのが分かった。

(行ってしまう……!)

「っ……!」
「!?」

ほとんど無意識だった。
工が立ち上がったと同時に私も立ち上がり、彼の右手を両手で握り締める。そしたら驚いたのか、こちらを向いた工の目が見開いていた。
……時間的にはそんなに経っていない筈なのに、工と目が合うのはとても久しぶりに感じて、思わず涙腺が緩みそうになった。

……………

私も工も無言のまま見つめ合い、まるで時が止まったかのようになった時、ハッと我に返る。つい勢いで手を握ってしまい、嫌でも自分の頰が赤くなるのが分かった。

「ご、ごめんなさい…!手を握ってしまって…!い、今離しますから……!」
「……別に、大丈夫。………えっと、手、離れないけど」
「ご、ごめんなさい…!でも……!」

自分で離すと言いながら離さないなんて何事だと思うけど、手を離したらまた工が離れていきそうで、それが怖かったから出来なかった。
……緊張が最高潮に達して、手汗がすごい事になっている。工に不快な思いをさせてしまうけど、手を離す訳にはいかない。

(今がチャンスなんだ…!今言わずしていつ言う……!)

唇が震える。でもグッと唇に力を入れて、無理にでも震えを抑える。そうしないと、言葉が自分の意思とは関係なしに震えそうだったから。
最後にグッと表情を引き締め、バッと勢いよく顔を上げて工を見据える。その時工の肩がビクリと揺れたけど、構わず口を開いた。

「ごめんなさい!!」
「!?」
「私があの時、ちゃんと工を起こしてバレー部のみなさんの所に行く事を伝えていれば、あんな事にはなっていなかったです!」
「っ……」
「私のせいで工にいらない心配をかけさせて、本当にごめんなさい!」

工の顔を言い終わるまで見る事が出来なくて、最後は頭を下げながら謝った。その瞬間、教室内が耳に痛いほどの静寂に包まれる。
/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp