第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜
(私が、諦めなければ……)
その言葉は、まるで魔法の言葉みたいで。先程まで急速にしぼんでいた勇気が、また溢れてくる。今なら何でも出来そうな気がしてきた。
「はい!私、頑張ってみます!」
「うん、その意気だよ!…それじゃあ、そろそろ五色くん帰って来ると思うから、私は自分の席に戻るね」
「はい。あの、本当にありがとうございます。鶴岡さんのおかげで勇気が出てきました」
本当に、鶴岡さんには感謝してもしきれない。だから私は、精一杯感謝を込めて彼女にお礼を言った。
そしたら、鶴岡さんは花が咲いたようにかわいく笑う。
「それならよかった!頑張ってね!」
鶴岡さんは最後にまた応援してくれてから、自分の席に戻って行った。
(本当にありがとうございます)
再度心の中でお礼を言ってから、視線を廊下に移す。鶴岡さんの言う通り、そろそろ工がお手洗いから帰って来ると思う。
でも、そんな思いを裏切るように、工は次の授業が始まるチャイムが鳴るまで帰って来なかった。
キーンコーンカーンコーン。
今日最後の授業の終了のチャイムが鳴り先生が帰った後、また緩い空気が流れ始める。でも、私と工の間の空気は先程よりも重い。
(やっぱり、チャイムが鳴るまで帰って来なかったのは私を避けた、からだよね……)
あの時みたいに違うと否定したいけど、工の行動を見る限りそうだと言わざるを得ない。……鶴岡さんのおかげであんなに勇気が溢れていたのに、また急速にしぼんでいくのが分かる。そして、慌てて探してくれていた事に対しての嬉しかったという感情も。
(私があの時、ちゃんと工を起こしていれば……!)
絶対こんな事にはなっていなかった。
今更自分の行動を悔いても何にもならないと分かっているけど、後悔が後から後から湧いてくる。