第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜
(……鶴岡さんに相談してみよう)
ここまで言ってくれたのだ。相談しなければ逆に失礼だろう。
それに、若利さんも言っていたではないか。内に溜め込んでおくより、誰かに吐き出した方がいいと。
「あの、では聞いてくれますか?」
「! うん、聞くよ。……いいアドバイスが出来るかは分からないけど」
「いえ、聞いてくださるだけでも嬉しいです」
快く承諾してくれた鶴岡さんに、今までの事を掻い摘んで説明する。その時、先程の工の事を思い出してしまい思わず泣きそうになったけど、何とか耐えて説明し続けた。
そして説明し終えると、鶴岡さんは納得したように頷いた。
「そっか…。だからあの時……」
「何か、あったのですか?」
「うん。学食から帰って来て教室で渚ちゃん達と話してる時、ガタッと後ろの方で音がしたの。それを不思議に思って振り向いたら、五色くんが慌てた様子でキョロキョロと周りを見渡してたの」
「……それって」
「うん。あの時は何をしてるのか分からなかったけど、真白ちゃんの説明のおかげで分かったよ。きっと真白ちゃんを探してたんだね。…置き手紙の存在に気付かずに」
「…………」
やはり思っていた通り、工は私が置いた置き手紙の存在に気付いていなかったのだ。……周りが見えなくなるくらい、慌てて私を探していたから。
「っ……」
まただ。あの時……工に名前で呼んでいいと、かわいいと言われた時と同じで、また自分の心臓が大きく脈打ち、まるで血が沸騰したかのように全身が熱くなる。
私が無理にでも工を起こせば、置き手紙を大きく書けば、などもっと色々と反省しなくてはいけない場面の筈なのに、今は嬉しいという感情が湧き上がるばかり。どうしてそう思うのかは、やはりまだ分からないけど。
……自分の事なのに、自分の感情に振り回されるなんておかしな話だ。
「……大丈夫」
「え?」
「私の推測でしかないけど、きっと五色くんは気まずくなってるだけ」
「……はい」
「だから、真白ちゃんが諦めなければ、絶対仲直り出来るよ!」
「!」
「頑張って!応援してる!」