• テキストサイズ

白鷲と白鳥沢【ハイキュー】

第16章 潜入、白鳥沢学園2日目〜仲直りの先〜


(今がチャンスだ……!)

「あの、工。さっきの事」
「ごめん。俺ちょっとトイレ行ってくる」
「え……」

意を決して話しかけたけど、言い終わる前に工は立ち上がり、言った通りにお手洗いに行ってしまった。その後ろ姿を呆然と見送る。

(……拒絶、された……?)

一瞬頭の中で嫌な単語が浮かんだけど、慌てて首を横に振って否定する。
違う。きっと違う。工は本当にお手洗いに行きたかっただけで、私がタイミングを間違えただけだ。

(だから、大丈夫)

膝の上に置いた拳を握り締め、嫌な考えを払拭する。……そうしていないと、目から涙が零れそうだったから。

「真白ちゃん、大丈夫……?」
「!? 鶴岡さん!」

顔を俯かせて耐えていると、突然頭上から声をかけられ慌てて顔を上げると、そこには鶴岡さんが立っていた。眉が八の字に下げられ、心配そうに見つめている。

「あ、あの…その……」
「あ、突然ごめんね。本当は真白ちゃんが教室に帰って来た時に声をかけたかったんだけど、先生が来ちゃったから」
「そうだったのですか?」
「うん。……五色くんと一緒に気まずそうな顔で帰って来たから、何かあったのかなって心配になって…。私でよければ相談にのるよ」
「あ、ありがとうございます。でも………」

鶴岡さんの申し出はとても嬉しい。でも、この事を無闇に話してもいいのか、鶴岡さんに迷惑をかける訳にはいかないなど、色んな思いが駆け巡りしどろもどろになってしまう。
言葉に詰まっていると、不意に鶴岡さんが小さく笑い、今は誰も座っていない前の椅子に座った。

「て、何か軽く聞こえちゃうよね」
「え!?い、いえ!そんな事はないです!」
「本当?…それならよかった。私はちゃんと本気で、友達の…真白ちゃんの助けになりたいと思ってるから」

そう言った鶴岡さんは笑っているけど、瞳の奥は真剣そのもので。その瞳から、言葉から、私の事を本気で考えてくれているのだと分かった。ひとりの友達として。
それが何より嬉しくて、胸がジーンとして、今度は別の意味で目から涙が零れそうだった。


/ 144ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp