第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
そんな事をされたら、またハイライトが灯っていない瞳で見られそうで怖い。あの底なしの暗闇みたいな瞳を思い出して、身体が勝手に身震いする。
そんな私の様子を見かねてか、太一さんは「冗談だよ」とケラケラ笑いながら言ってくれた。その答えに、心の底から安堵したのは内緒だ。
「それじゃあ、俺は大平さんのとこ行くから、瀬見さんと天童さんをよろしく」
「あ、はい。分かりました。よろしくお願いします」
「りょうかーい」
獅音さんの所に行くと言う太一さんにプリントを渡して見送る。
残ったのは英太さんと覚さんだから、まずは1組の英太さんの所から行こうと1組の教室に向かった。
1組の教室を後ろのドアから覗き込み英太さんの姿を探すと、1番窓際の席に座っていた。その手には紙パックの飲み物が握られていて、視線は机に向いているから、飲みながら何かを見ているのだと分かる。
……英太さんがいたのはよかったけど、どうしようと思ってしまった。教室には勿論英太さん以外の人がいて、大きな声を出して呼ぶのは何だか躊躇ってしまう。
(ここは誰かに呼んでもらおう)
幸いにも、ちょうど廊下側の1番後ろの席に男の人が座っている。この人に英太さんを呼んでもらう事にした。
「あの、すみません」
「ん、ほいほい?……って、見ない顔だね。1年生?」
「は、はい。そうです」
「そっかそっか。それで、どうしたの?誰かに用事?」
「はい。えっと、英太さんに」
「!?」
よかった、優しい人だと思いながら英太さんの名前を出したら、何故か驚いたように目を見開いてこちらを凝視してきた。それを不思議に思い首を傾げていると、男の人は「え。名前呼び?ま、まさか」と焦ったように呟いている。
「ど、どうしたのですか?大丈夫ですか?」
「ああ…!うん、大丈夫…!……瀬見ー!彼女さんが呼んでるぞー!」
「えっ!?」
「ブゥーーッ!」
男の人の言葉に私は驚き、英太さんは飲んでいた飲み物を盛大に吹き出した。しかも吹き出した飲み物が机の上に被弾したみたいで、咳き込みながらも慌てた様子でティッシュで拭いている。……大丈夫だろうか?