第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
「だから、ありがとうございます」
「「…………」」
笑顔でお礼を言うと、賢二郎さんと太一さんは目をパチクリさせた後顔を見合わせる。そしてまた顔を私に戻し、徐ろに手を伸ばして頭を撫でてきた。その動作はとても優しい。
「うわっ!?ど、どうしたのですか?いきなり」
「いや、何か撫でたい気分になった」
「何だか真白は小動物みたいで癒されるわ」
「しょ、小動物……」
それは褒められているのだろうかと微妙な気持ちになる。
「あっ!癒されると言えば、工もそうじゃないですか?」
工のあの元気いっぱいの笑顔は、見ていてとても癒される。そう思って口に出したけど
「あいつは暑苦しいだけだろ」
「あとうるさいを追加で」
「辛辣……!」
賢二郎さんと太一さんからは辛辣な言葉しか貰えなかった。
……ごめんなさい、工。
「それじゃあ、俺は牛島さんと山形さんがいる3組に行く」
2階に着いた途端に賢二郎さんはそう言って、私が持っているプリントを2枚抜き取って3組の方に歩いて行った。その無駄のない、素早い行動に声をかける暇もなく、太一さんと一緒に呆然と見送る事しか出来なかった。
「は、早かったですね……」
「うん……まさか、最初からこれが狙いだったんじゃ……」
「?狙いとは?」
「白布が自分で牛島さんにプリントを届ける事だよ」
「な、なるほど」
何だろう、太一さんの言い分に妙に納得してしまった。賢二郎さんは部活中、牛島さんへのセットアップだけは何だかとても活き活きとした表情で行なっている。その表情から察するに、賢二郎さんは牛島さんを尊敬しているのではないかと思う。
(あ。だからと言って、賢二郎さんが他の3年生を尊敬してない訳じゃないと思うけど)
誰に言うでもなく、心の中でそう呟いていると、太一さんが眉間に皺を寄せ難しい顔をした。
「うーん…。その理由なら、白布さんの方が不純な気がしますけど、真白さんはどう思いますか?」
「え。……そう、かもしれませんけど、でも何だか微笑ましいじゃないですか」
「なるほど、真白さんは白布さんの肩を持つと。……さっきの言葉、白布に言っちゃおっかなぁ」
「えっ!?そ、それはちょっと……」