第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
やはり賢二郎さんが手伝ってくれたおかげで、短い時間で2年生にプリントを配り終える事が出来た。さあ、次は3年生の番だ。
「で」
「はい?」
黒鷲の事もあるから頑張らなくては、と気合いを入れていると、隣にいる賢二郎さんが私…正確には私のもう片方の隣にいる人物をジト目で見ながら口を開いた。
「何で太一がいるんだよ」
「ひ、ひどい!せっかく俺も手伝おうと思ったのに!」
「そ、そうです!太一さんも賢二郎さんと同じで、手伝うと言ってくださったのです!」
明らかに泣き真似をしている太一さんだけど、そのわりには随分と悲壮感漂う声だったから慌ててフォローする。
そう、プリントを渡すために太一さんがいる2年5組に訪れたら、彼も手伝うよと言ってくれたのだ。最初は賢二郎さんと同じく悪いからと断ろうとしたけど、その前に色々と言い包まられて今に至る。
経緯を話すけど、賢二郎さんの視線は変わらない。それに戸惑っていると、賢二郎さんは視線をそのままにまた口を開いてひと言言った。
「本音は」
「本音?」
はて、本音とは何だろうかと思いながら太一さんを見ると、何故か顔を背けて口笛を吹いている。どうしたのだろうかと思っていると、賢二郎さんはもう一度聞いた。「本音は」と。
(あ、圧がすごい……)
「……暇だったからです」
それを太一さんも感じ取ったのか、無表情を少し崩して冷や汗をかきながら観念したように答えた。その答えを聞いた賢二郎さんはため息を吐く。
「はあ、やっぱり」
「ゔっ……いや、理由がどうあれ、手伝おうと思ったのは事実だからいいでしょ」
「だからって理由が不純すぎるだろ」
「細かい事は気にしないんだよ白布」
「そうですね」
「「?」」
私を間に繰り広げられる会話に口を挟んだら、2人から同時に不思議そうに見られた。だから私も顔を上げて、2人の目をしっかり見てから思った事を口にする。
「どんな理由であれ、太一さんが手伝うと言ってくださった事実は変わらない。それに申し訳ない気持ちもありますけど、やっぱり嬉しかったです」
そう。強制的だろうが理由が不純だろうが、「手伝うよ」といってくれた事実は変わらない。申し訳ない気持ちもあるけど、でもやっぱり嬉しい気持ちが勝るのだ。