第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
賢二郎さんも私と同じ事を考えていたのか、小さく笑いながら同意してくれた。
でも、もしかしたら賢二郎さんも物足りないと感じたかもしれない。何故なら、明日が体育館の点検だと分かると、少し表情を曇らせたから。……まあ、本当に些細な変化だったから、気のせいかもしれないけど。
そこまで思ってハッとする。時間は有限ではない。昼休みが終わる前に、このプリントを全員分届けなくては。
「あの、私他のみなさんのところにもこのプリントを届けなくてはならないので、すみません。失礼します」
「ちょっと待って」
会釈してから踵を返そうとした時、賢二郎さんに呼び止められた。それを不思議に思いながらも振り向くと、賢二郎さんはプリントを二つ折りにしてから私に視線を向けた。
「手伝うよ」
「え!?い、いえそんな!大丈夫ですよ!」
「3年はともかく、俺達2年は結構人数いるから」
「で、でも……」
……正直にいえば、賢二郎さんの申し出は大変ありがたい。やはり1人ずつ周ってたら時間もかかるだろうし、最悪昼休みが終わる前に配りきれないかもしれない。
でも、賢二郎さんの貴重な休みの時間を奪っていいのか。
うーんと悩んでいると、不意に賢二郎さんの瞳のハイライトが消えた。その事実に恐怖し、思わず肩を揺らしながらひとつの可能性を考えてしまった。
(ま、まさか……!)
「…………」
「ヒィ…!?わ、分かりました!お願いします!」
そのまさかだった。あの時……工にボールを当ててコートに戻らせた時と同じで、目が語っていた。「俺なら平気だから、さっさと頷け」と。
目は口ほどに物を言う。
その言葉が身に染みた瞬間だった。