第15章 潜入、白鳥沢学園2日目〜黒鷲捜し開始!〜
これは驚きだ。大学生という事は、工達とは年上という事になる。そしたらやはり年上の分、あちらの方が経験値は多いだろうし大丈夫だろうか。
そう思ったけど、どうやら私の心配は杞憂らしい。その証拠に、鍛治さんはニッと口角を上げてニヒルに笑った。
「あいつらはそんな柔じゃねぇよ。何せ、俺が鍛え上げて弱音を吐かなかった連中だからな」
「!」
その自信満々な言葉を聞いて、私は上から、そして同じ地上に立って見てきた今までの彼らの練習風景を思い出す。
練習中大量の汗をかき、辛い表情を浮かべながらも、鍛治さんの言う通り弱音など吐いていなかった。それどころかどこか満ち足りた表情をしていて、彼らが本気でバレーに向き合いバレーが大好きなのだと分かった。
(それを知っていたのに、私……)
「すみません、私」
「謝らなくていい」
「!」
謝罪を遮るほど怒っているのかと思ったけど、そうではなかった。
「謝るくらいなら、マネージャーとして行動で示せ」
「!……はい!」
言葉より行動で示せと、鍛治さんは笑いながら言ってくれた。それに報いるために、私は気合いを入れるためにはっきりと返事をした。
「それじゃあ、早速働いてもらうぞ真白。そのためにここに来たんだからな」
「分かりました!私は何をすればいいのでしょうか?」
「そのプリントを2、3年生に届けてくれ。ここまで来たついでだ。1年は俺がするからよ」
「はい!分かりました!」
早速のお仕事だ。頑張ろうと思いながら返事をすると、不意に鍛治さんの表情が真剣なものに変わり、声を潜めて話しかけてきた。
「それと、お前が捜してる例の黒鷲。最初に見たのはこの教室より2階下の教室だったんだよな」
「はい」
「それなら、そいつは今3年に化けてやがる。ここより2階下は2階だからな」
「!」
これは貴重な情報を手に入れた。それだけ的を絞れれば、俄然捜しやすくなる。
「ありがとうございます、鍛治さん」
「お前がマネージャーとして入って、大分楽になったからな。これぐらいはやらせてくれ。……頑張れよ」
「っ、はい。ありがとうございます」
「あ、それとそのプリント、工にはお前から渡しといてくれ」
「分かりました」